「はぁ」
天を仰いでいたhydeがため息をつき、今度は頭を垂れた。
何? という意味を込めてhydeに振り向く。
「これからどうなるんやろ?」
hydeはうつむいたまま独り言のように呟いた。
それって自分らのことか?
そんなこと今聞かれたって分かるわけないやろ。
むしろ聞きたんははこっちの方や。
それに、どうなるも何も、なるようにしかならへん!
本当は大声でそう叫びたかった。
「自分らがなりたいようになるしかあらへんやろ、俺ら。
それにはここから動き始めなな?」
だけど、強がってリーダーっぽいことを言ってみた。
フードの下からhydeが目線だけ動かして、
じっと自分を見ているのを感じた。
あ〜〜と、え〜〜と、う〜〜〜・・・・・・・
「あ・あきらめへんよ俺は。またあの場所へ戻る。
それに、そうやなかったらサクラにかって・・・・・・・あ」
こんな時にアイツの名前なんて出すつもりはなかったのに。
そう悔やんでももう遅い。
サクラの名前が出た瞬間、hydeの身体が少しだけぴくんと動いた。
ひっついていなければ気がつかなかっただろう。
hydeはまだじっと見ている。
「えっ〜と」
「サクラのことはteっちゃんの判断が正しいと思おてるよ」
昼間行った街の話でもして話題を変えようとしたところで、hydeが口を切った。
「え?」
「サクラはあれで人間的に弱いところがあったから、
ここで許されて戻れたりなんかしたら、きっとまた同じようなことをしたと思う」
「はぁ・・・」
「自分らのためにもサクラのためにも、teっちゃんのゆうとおり、
俺らこれで終わったりしちゃったらあかんのよな」
「えぇ・・・」
「昔は昔、今は今、そして未来は輝く未来!」
「・・・・・はい(これむしろ、今、俺がhydeに言うべき台詞やろ)」
「teちゃん! 寒いし、もう帰ろっ!」
「・・・・・・・」
そう言うとhydeはベンチから勢いよく立ち上がり、
もと来た道をスタスタと戻り始めた。
ここに来たときに感じた頼りなさは、その後姿からは消えていた。
自分の心配は一体なんだったのだろう。
こんなことなら無理して追っかけて来るんじゃなかった。
tetsuは、ほんの少し悲しくなった。
前を歩いていたhydeが振り返る。
「teっちゃん」
「なんや?(ムッとしている)」
「ちょっと手、繋がへん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はいっ?」
「ほら、夜道は暗いし物騒やろ?
一人で突っ走って迷子になったら嫌やしなぁ」
暗いって月明かりでこれでもかってほど明るいんですけど。
物騒って、たぶんこの辺り、夜中に鍵かけずにいてもOKですよ。
迷子って、もう家見えてますけど・・・・
hydeの気持ちが測りかねて、
差し出された手に自分の手を重ねることを躊躇った。
「はい」
戸惑うtetsuの手をhydeは取り上げ、
「teちゃん、頑張ろうねぇ〜〜〜」
tetsuの手を握りながらhydeは「にぃ」と笑った。
月明かりの下。
あれから少し痩せたhydeの笑い顔は、以前にも増してしわくちゃに見えた。
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ニコチンの禁断症状が明け方近くになって現れたken。
キッチンやリビングにその欠片でもないかと物色中に、
仲良くお手手を繋いで帰ってきたhydeとtetsuに度肝を抜かされた。
「お帰りなさいぃ。 二人揃って朝帰りですか?」
「いや・・・あの・・・これはな、kenちゃん・・・」
「hydeさんは何だかお疲れのご様子ですね」
「うん。(考え事とか、話とか)いっぱいteちゃんとしたから疲れた。
もう一回寝る。おやすみ」
「・・・・・・・いっぱいした?」
「いや、やから、hydeの言葉不足はkenちゃんかて知ってるやろ!?」
「ということは、tetsuから詳細に真相を聞かせてもらえるちゅ〜わけ?」
「俺、ほとんど寝てへんのやけど・・・・・」
その後、変に話を勘ぐられたkenの誤解を解くために
tetsuは延々3時間ほど同じ話を繰り返しさせられた。
今日も目の下に隈ができてもうたと思いながら部屋に戻るtetsuを尻目に、
新たな情報を得たkenは違う場所にいる新メンバーに、「ちょっとうちのリー
ダーどう思う?」と、朝っぱらから電話口に呼び寄せまくし立てた。
朝からどーでもいい話を甲高い声で聞かされた新生ラルクの新メンバーは、
「僕、こんなmilky boyたちと一緒にやっていけれるのかな?」