そんな彼の事情  3


「てっちゃんの阿呆〜〜〜。変態〜〜〜。エロテツ〜〜〜」
「まぁまぁ、hydeさん、ええやないの、一応苦情も出ず、
ステージも盛り上がったことやし」
「何言うてんのkenちゃん。そういう問題とちゃうの。
 品格の問題なの、品格の。なっ? ゆっき〜」
「・・・・・」
「次なるラルクとしての新しい方向性の一つということで、どやっ?」
「新しい方向性が必ずしも正しいとは限らへんのよ、kenちゃん。
 ゆっき〜もそう思うよなっ?」
「・・・・・」
 
「・・・皆さん、今日はさぞお疲れでしょう。
 ビールでもお持ちしますわ。何がええですか?」
 
「・・・・・・悪いねてっちゃん・・・・・、ほんなら俺、ラガー」
「アサヒのドライ」
「エビスとモルツとラガー、冷えたグラスと、
 あ、缶はあかんよ。はよしてね、俺この後詰まってるから」
 
ボトルでモルツってあったけかな〜?
缶はあかんって駄洒落じゃないよな〜?
この後って、あれでまだ足りひんのかな〜?

どうでもいいことを思いながら、俺は憐憫と黙殺と侮蔑を
ひしひしと背中に感じていた。
・・・・・・なんで俺がhydeにそこまで言われなあかんねや。
そもそも誰のせいや思おてんのや。
・・・・・・なんや歩きにくいな・・・・あれっ? 
まだ1本入ってるやん・・・・く・・(泣)・・・・・
 
 
 
「ほんま、てっちゃんにはショックやったわ〜〜。
 みんなかてそうやろ〜?もうhyde、信じらんな〜〜い」
「hyde、ちょっと言い過ぎやで。うな垂れてるやんか(苦笑)。
 hydeかて、てっちゃん最高やとかってウケてたやろ?今のうちに謝ってき」
「・・・・拗ねはったらまた面倒ねんしな、あの人。しゃーないな〜。てっちゃん!」
 

くっそ〜〜、なんで俺がこないな思いせなあかんねんな
 

「てっちゃんてば!」
 

そもそもこんなもんがあんなところに置いてあるんが悪いんや
 

「なぁ、てっちゃん?」
 

こんなもん! こんなもん! こんなもん! こんなもん!
 

「てっちゃん! ええ加減に!」
「なんやー! こんなもーん!」
 
「・・・・・・・・・・・・」
 

股間に残った最後の生暖かい一本
振り向きざまに振り回したら
切れて叫んだhydeのお口にソード・インされた。
 

「あ・・、hydeが、俺の、バナナ・・・・・」
 
 
プシュ〜〜〜
tetsu:hydeより『裏虹グレムリンレアー』を受け直撃
    HP及びMP共に0
 
           よって   GAME OVER
 
補足:『裏虹グレムリンレアー』とは
魔界の子悪魔を数体召喚して相手を攻撃するhyde特有の技。
子悪魔でありながら破壊力は最高クラス。
子悪魔の中にまれに攻撃力数倍のものが時として召喚される。
本人が発動していることにあまり自覚がないため、
周囲に「はた迷惑・混乱・誤解」等の余剰効果を生む非常にリスクの高い攻撃である。
 
 
この日、53分という微妙に半端なラルク史上最長の遅延ライブ開演の直前、
乱れた服装で付設のシャワールームに駆け込むhydeと同時にステージに上がってきたtetsuや、
ライブ中、自分に近づくhydeにいつも以上にキョドッていたtetsuや、
なぜかhydeの首筋を見てギョッとしていたtetsuや、
股間にバナナを仕込んでいたあり得ないtetsuや、
途中でその生暖かいバナナをやけくそに客席に向かって投げたtetsuや
・・・・そして今、無理矢理hydeにバナナを咥えさせた挙句、
その様子を見て鼻血を出してブッ倒れた信じられないtetsuを見たスタッフや
一部の観客から噂が噂を呼び、尾鰭背鰭胸鰭まで付き、
3日と経たぬ間に新たなテツハイサイトが数多発足される事態になることを、
昇天中のtetsuが想像できるはずもない。
 


「〜〜〜〜〜てっちゃん、ほんまサイテー。 hyde、信じらんな〜い」
 
 
 
俺はtetsu。
新たなる方向性を模索中な「ラルク」のリーダー。
しかし、リーダーとして不本意な方向性を示唆してしまったようである。
こんな俺でも、日々メンバーとバンドのことのみを考えているのだが、
最近それが空回りしているのではないかと思い始めている。
 
 
後談
 
その日より、tetsuは自分のhydeに対する認識を改める。
 
あいつ、ホンマは体力あったんやな〜。
あんな運動した後でも全曲歌い切りよったしな。
ほな、今までヘタレてたんは、一体どういうことやねん?
 
そして気づく、
hydeの管理の成か非は、黒装束の男の監理に左右されると。

05・12・10

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