髪フェチサクラ 


「まったく、参ったな」


執着しているのは俺の方だ。
お前を構成させている全ての要素が俺の全てなんだ と感じる。
尋常ではないその執着振りに、俺はいつも嫌悪感と
露悪できない自分に後ろ暗さを持っていたんだ。
なのにお前はいつも「なんだそんなことか」 とばかりにあしらい、
時々びっくりするほど ストレートに自分を曝け出してくる。


何なんだろうな、そうされる度に、 何だか胸が痛くなるんだ。
何なんだろうな。


不意にサイドテーブルの携帯が鳴り響いた。


「あ、サクラ? やっと出よったな。
 携帯の意味無いやんか。どこ行っとったんや」


kenだ。


「hydeなんやけどな、おっててんやろ?  サクラんとこに」
「ああ」

「夕方フラッと事務所来よったな〜思うたらな、 いきなし「髪切る」言いよんや。
 いきなしやで。 ほんで、モヒカンやるんや〜とかゆうてな。
 もうこっちてんやわんややがな」
「ハハハ・・・」

「笑い事やあらへんがな、アルバム作ったら 切るゆうとってんけど。
 サクラ、気に入っとった やろ、hydeの長髪」
「hydeは?」
「あ〜、今からホンマ切るみたいやな〜。  「最後だよ〜」とかゆうて。
 なんやごきげんさんやで、 きっしょ〜〜。
 あの無邪気面が俺は心底怖いがな」

いいとこついてるぜ、ken。


「tetsuは?」
「面倒事はこりごりやゆうてな
  ・・・てっちゃんがサクラんとこ電話せー ゆうたんやで!」

「 へぇ〜〜。  yukihiroさんは?」
「何か知らんが・・・涙目や。 気苦労多いでな、 アイツも、可哀想に。
 なぁ、何も問題あらへんよな、頼むでホンマに。」
「了承済みだよ。問題ない」

「は〜、さよけ、ほなな」


切ろうとするkenを少し停めて、俺は例の並上女の ことを簡単に話した。


「もう何も仕掛けてこないと思う」
「悪かったな」
「いや、成り行きだったからたいしたことじゃない」

それから顔とスタイルは俺の評価は並で、 味は激マズだったと付け加えた。


「・・・・・・・そりゃお疲れさん。お〜きに」


思いっきり嫌そうな声でそう返事をすると、 kenは電話を切った。

電話の後、俺は笑いが込み上げてきた。
これで何人のhydeファンが髪を切ることに なるんだろう?
あれを邪気と取るか、無邪気と取るか・・・・


「あ〜、本当に参ったよ」


今夜もhydeは俺のところに来るだろう。
髪を見せに。

だけど、何も言ってやらないよ。
ささやかな反抗だ。

その代わり、長髪だろうが短髪だろうが 関係ないのだと。
お前を取り巻く全てのものに反応してしまうほど、
俺こそがお前に執着しているのだと。


まぁ、そんなことは更々言えないけど。


そのよろめく身体に伝えよう。

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