birth!


自分という存在の意義。
抱き合いながら、そんな思考がいきなり湧き上がった。
 
胸に顔を埋めている男の名前を呼ぶ。
「サクラ・・・」
 
「ん?」
不意に呼ばれたことで顔を上げ、
怪訝そうに覗き込む。
 
少し汗ばんで・・・・・
額に張り付いている髪の毛を払ってやる。
 
愛しい。
 
その感情には充分意義がある。
 
どちらからともなく唇を合わせ、舌を絡め合う。

痺れる躰。
 
そう、この感覚も意義がある。
 
太腿を撫でられ、首筋に受ける刺激に声をあげる。

「あぁ・・」
 
 
 
己を感じることができるようになったのはいつから?
これが自分だと分かるようになったのは?
そんな不確かで曖昧なもの。
 
 
躰を開かれ、自分の中に入り込む存在の感触。
そこにさえも、今では自分を感じることができる。
 

今は・・・・・こんなにも分かる。
内も外も、輪郭でさえも。
 
 
今までの自分は無でしかなかったのかとさえ思う。
 
 
「あぁ、なぜ?」
 
何が、とはなしの虚ろな問いかけに男が囁く。
 

「魅せられたんだろう、この魂に」
 

瞬間、鮮明な命を吹き込まれ、
躰に浸み渡る新たな己の存在。
 
「キスしよう」
 
それを確かなものにするために、
約束の口づけをする。

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06.01.27
 
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