初めて口にした時不思議な味だと思った。
甘くて・・・・苦くて・・・・、少し塩味の。
今まで経験した味覚を足していっても近づけない。
知っているもの全てを幾ら溶かしてもこの味にはならない。
かつて、フランスのサド公爵が、これは恋の媚薬だと言った。
彼はデザートに滑り込ませ、食べた者は皆快楽への情熱に燃えつづけた。
そんな言い伝え・・・・
事実に比せば御伽噺だ。
一口かじった途端に感じた舌の痺れ。
その上に広がるとろけるような甘味。
それは、身体が拒否する間も与えず隅々まで行き渡り。
瞬時に酔わされた。
大人げもなく、何度も恋うた。
最初の感覚が忘れられなくて。
いつまでも感じていたくて。
だか、狂おしいその感覚は、
今も色あせることはない。
脳の中枢神経を麻痺させるような。
そういえば、モルヒネや大麻との類似要素が微量にあるらしい。
麻薬だ。
常に身体に取り込んでいないと不安になる。
反面、
不思議なその味を知っているのは、自分だけなのだという優越感。
いくらでも溶け合い、味わいあう。
溶け合うほどに、さらに生まれ変わるその味覚。
それにまた夢中になり、
むさぼり喰う。
身体も心も神経も、何もかもが狂わされる。
ゆるやかな中毒症状。