「なんてことになる確率は、お前がいっちゃん高いねんから!
頼むからスタッフ巻いて1人でどっかに行こうなんてこと
金輪際思わんといてくれっ!」
「てっちゃん、幾らなんでもそれ考えすぎちゃうの?」
「うっさいなkenちゃん! こんな、オバちゃんでさえ猛牛みたい
なんが多い国でな、俺かてよう外に出られへんのに」
「てっちゃんのそれは意味がちゃうやろ!」
今日丸1日のオフに、hydeは気に入った場所を見つけては
スケッチ三昧の日を過ごしたのだが、チャリでチョロチョロ
動き回るhydeを、お目付け役で機材やら何やら持ってついて回る
スタッフが見失ってのこの騒ぎである。
hydeは、別にスタッフを巻こうなんて思ってもいなかったのだが、
気がついたら全然知らない隣町に来ていたのだ。
おまけに帰り際、腹が減ったので何か買って食べようと思うと
財布を忘れていて、途方に暮れていたところで、何だか紳士っぽい
男性に目の前で美味しそうなパンをちらつかせられ、
ふらふらついて行ったら、いきなり路地裏に連れ込まれそうになり、
思わず頭突きを食らわし(体格的に頭頂を使うハメになった)、
怖くなって我武者羅にチャリを漕いで走ったら無事に家にたどり着き
(これを(小)動物の帰巣本能という)、頭の痛さは自分が出て行くときに
財布を注意しなかったてっちゃんのせいだと八つ当たりでもしてやろう
と思った矢先に、変な妄想話をふっかけられたのである。
(でも、こんな話したら俺、明日から24時間監視つきのうえ、
外出禁止になっちゃうな)
そうなるのも鬱陶しいので、ここは素直に謝っておくことにした。
「うん、ごめんね、てっちゃん。もう絶対にしないからね。安心してよ」
そして次のオフの日。
「うおぉ〜〜〜〜! hyde、何処行ったんや〜〜〜!!!」
「てっちゃん、落ち着き! 何処行ったも何も子供やないねんから、
ちゃんと帰ってくるしっ」
「あほう! この間約束したばっかやで! 絶対非常事態なんや!
誰かにかくまわれとるかもしれへん! 大変や!」
「・・・・・・・・・・・・」
「うおらぁ〜〜〜! お前等hydeを何処にhideしたんや〜〜!」
「うわっ! てっちゃん、何気に駄洒落かいな。
しかも、ここ英語圏やないしっ! 寒っ!」
「何ぼ〜としとんねん! お前等もhyde探しに行かんかいっ!」
バラバラと蜘蛛の子を散らすように走り出すスタッフ達。
別にhydeをかくまってるわけでも、悪戯してるわけでもない善良な町の人々。
あの可愛い男の子はいいとして、何かの時にしか外出せず、
外出すればそれはそれで大騒ぎという日本人と、
店の食料品を軒並み食い潰していく日本人に、
この町の人々はいい加減辟易していた。
早く国に帰れよ日本人!