痴話喧嘩
自分の気持ちが分かっていないだの、大体言葉が足りないだの、
ひいては、愛情表現が足りないだの、
更には・・・
本当は愛そのものが足りないんじゃないのか
そんな痴話喧嘩なんて
世の中にヴァカップルが存在する限り日常茶飯事に起きる。
甘々な睦言を交わす男女でさえその例には漏れずだ。
しかし、男同士のサバサバした恋愛関係において、
甘い睦言やら、とろけるような愛の語らいなんてあるわけがない!
オス同士の意思の疎通なんて、身体同士のぶつかり合いで充分量れる!
・・・・・・と、思っていたのに、この展開はなんだ?
「大体サクラは言葉が足りひんよな〜」
「どう足りないんだよ!」
「自分だけ納得したってあかんやろ? 一方通行のままやん。
自分、何思ってんのか言わへんかったら分かってもらえへんことかてあるんや」
「そんなの愛があれば分かるだろ?」
「・・・・・お前、今の台詞めっちゃ頑張ってゆうたやろ?」
「///////////////・・う、くそったれ」
「愛があったってな、分からへんもんは分からへんねんで!」
「そら、お前の愛が足りてないんだな。 俺は分かるぞ、hydeのこと」
「・・・・・・サクラの愛のほうが俺のより勝ってるって言いたいんか?」
「そのとおり」
どちらの愛が勝っているかより、兎角優劣を競いたがるのは男同士の本能だ。
「へぇ〜〜〜、そんなら、俺はちゃんと言葉でゆうてもらわへんと分からへんから、
サクラの愛がどれくらい俺のより勝ってるか説明してもらおか?」
「死ぬな」
「?・・・・・・・・・だから、言葉が足りひんってゆってんにゃ!」
「分かんねーのか? hydeがいなくなったら俺は死ぬって言ってんだよっ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(決まったな! 俺の勝ち〜〜〜〜)
「ふんっ!」
「ふ・ふんっ?」
「甘いなサクラ!
そんなどこにでもあるような言葉と覚悟で俺の愛に勝ったつもりか?!」
「な・なんだよっ!」
「俺だったらお前がいなくなっても死なへんで」
「?」
「俺だったらな、お前がいてない世界でも、お前を思いながら、焦がれながら・・・・・
死にそうなほどなのに、お前を思う自分を消すことができなくて、
お前の思い出の欠片を抱きながら、それだけでも幸せを感じて生きてくな」
「・・・・・・・・・・・・」
「お前が本当に死ぬ時は、俺が本当に死ぬ時や。
俺の中のお前を、自分の手でなんかで絶対に殺さへん」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「〜〜〜〜〜〜申し訳ありませんでした! 私の負けです〜〜〜〜〜〜」
「100万年早いわっ!」
「ごもっとも」
「・・・・・・・だけどさ」
「なんや?」
「やっぱ、言葉だけでも足りないんじゃないのか?」
「そりゃそうや。 言葉の次は態度で示さんと」
「俺、そっちなら勝てる」
「確かめてみる?」
「どこで?」
「お前ん家」
今日もどこかでヴァカップルの痴話喧嘩は始まり、周囲にはどうでもいい終息を迎える。
「・・・・・・・kenちゃん、あいつら完全に俺等のこと忘れてたな」
「なんで俺等があんなアホくさい痴話喧嘩に付き合わなあかんねん」
仲良く二人で腰を抱き合いながら消えていった扉を見つめるtetsuとken。
「あぁ、てっちゃん。 ゆっきーなんか砂礫化して今にも崩れそうや」
「流石のゆっきーにも今の会話は効いたようやな」
「「あ〜〜〜、アホくさっ! けど、恋愛してぇ〜〜〜!!」」
しかし、
痴話喧嘩は、周囲にそんなくだらない愛情の確認さえもできない虚しさの、
その馬鹿らしさを気付かせてくれる。
恋愛中ならのろけをどうぞ