自分の部屋から
わずかばかりの明かりが漏れていることに気がつく。
しばらく立ち止まって、部屋を見上げる。
誰かが自分の帰りを待っている灯り
俺は心なしか軽い足取りになる
たぶん、ドアには鍵が掛かってなくて
玄関に一人分多い靴が揃えて置いてある
部屋は暖まっているのだろう
そして、自分以外の者の香り
・・・・・・・・・・・
いつもとは違うだろう・・・を数えてみる。
気だるい階段も今日は一気に駆け上がる。
やっぱり鍵はかかってない。
掛けとけよ、無用心だな、
全く、何回言ったら分かるんだ?
なのに几帳面そうに靴は揃える。
外気より数段暖かい空気。
自分のとは違う紫煙の香り。
数え上げた事の正解に笑う。
リビングの扉も開けっぱで、
間接照明だけ灯したほの暗い部屋に、
黒いソファーの背もたれに頭まで預けて、
ギターを抱え込んで部屋の上部を見ている。
時々ポローンとコードを押さえ、
半開きの口が少し動いた。
こういう状態のhydeを見ているのはすごく好きだ。
何をしてくれなくてもいい。
ただ、そこに居てくれればいい。
空気みたいにそばにいるだけでいい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あのさ、どんだけこうしてりゃいいの?
2分は経ってるだろ?
黙って見てる俺も俺だけど・・・・・
「hyde」と、声を掛けようと身動いたらやっと気がついたようで、
ソファに預けたままの頭を少しだけこちらに向けた。
「あ、サクラァ、おかえり〜〜」
彫りの深い顔にほのかな灯りが映え、
いつもの微笑みが艶っぽく見える。
うっ、一瞬クラッと来たゾ
「何が「お帰り〜」だ。人んちに溶け込むなよ!
一体誰の家だ? ここは!」
「お前んちやけど? それが何か?」
hydeの前まで歩み自分を見下ろす俺に、
眼をしばたたかせて悪びれることもせず答える。
それどころか、
「帰ってるんやったら「ただいま」くらい言えや。
黙って見てるやなんて趣味悪〜」
などと、少し口を尖らせて悪戯っぽく笑った。
「あ、それとも視姦してた〜ん? やっらし〜」
・・・・・相変わらずバカというか、天然受けというか。
墓穴掘ったなhyde。
「そのとおり。それと、お前が気付くのが早いか、
俺の理性が飛ぶのが早いかカウントしてた」
「へ・へぇ〜、俺が気付いたほうが早かったやろ?」
「い〜や、俺のほうが13カウント早かった」
ギターを抱え込んで抵抗の姿勢のhydeに、
ちゅ、と音を立てて接吻を落とす。
「13カウント〜? 嫌な数字やな〜」
「好きなくせに」
「それは、お前次第や」
「腕が鳴るな!」
「・・・オヤジ」
さっきよりも少し深く接吻る。
「ギター、どかしてくんない?」
二人の間にあるギターが邪魔で、
身体の間から抜く...接吻したままで。
障害物が取り除かれてあらわになったhydeの身体。
ギターの代わりに重を掛ける。
「重っ」
「じゃ、今日は上で・・か?」
「そういう発想がオヤジ」
「君のほうが年上でしょ?」
「今更、何ゆうとんねん」
あー言えばこー言う
五月蝿いなぁ
まぁ、そのうち言葉にならなくなるんだけど
裸にした上半身に鈍く光るクルス。
キリストの苦しみの象徴は、
違う苦しみを与えたい衝動に駆られる。
「アンタがソノ気になるまで
今日は何工程踏まなきゃいけないかな?」
滑らかな肩に吸い付き、
胸の起ち上がりを指で確かめながら言う。
「ん・・お前、そんなんいつも数えてんの?」
「カウントとるのはドラマーの性ってやつ」
「うわ〜」
心地よく交わす戯言も、
互いの身体が熱を帯びるまでのお遊びだ。
肌を晒した左足を肩に担いで、
背もたれに思いっきりhydeを押し付け、
眉間に皺を悩ましく寄せる表情に、
荒々しく舌を絡ませる。
「んん〜、サクラ、ちょっと」
半分脱がせた下着がもたつく右足を、
膝から上へと内側を撫でると、
hydeの中心は俺の腹の下で形を整え始める。
「早くね?」
「う、ちょっと待て」
「なんで?」
この状態で制止なんかお互い利かないだろが
両肩を掴んで押し返そうとするhydeの抵抗を無視して、
舌を伸ばして胸の尖端を掠めると、
「あぁ! ・・ん〜」
その尖った刺激が返って強く感じたのか、hydeの身体が跳ね、
一瞬抵抗が解かれたその隙に、舌を下ろして、
俺は根本までhydeを咥えた。
「うわっ! だ・だから、サクラァア・・あ、あ」
もうかなりの質量と硬さだ
「ぼうひた? ヒャイド? ほうへんはいは?」
・・・・・・(どうした?hyde?もう限界か?)
「く・咥えたまんまで喋くんなっ! 阿呆!」
俺の頭を鷲掴みにしてるが、
それは刺激から逃れるためにしてるようなもの。
「だからっ!」
1本1本溝を確認するように下から強く吸い上げて、
「あ〜、あ、忙しくてっ」
「ふんふん?」
下ろす間際に鈴口に思いっきり舌を食い込ませて、
「っ、ふ・・はぁあ・・ん、あ、つ・疲れてるから」
鼻に掛かった声に少し嬉しくなって、
今度は軽く歯を立てながら根本まで下ろすと、
「あ! ああああっ! あ〜はっ、はぁ〜・・・・・・」
「え? hyde?」
「・・・・・・・だからゆうたやろぉ〜、今日、俺、早っ」
くったり四肢を脱力させて、胸を上下させているhyde。
「あ・・・あぁ、早いよお前〜、13カウント、最短記録」
「!!! 数えてたんかぁー? このボケがーーー」
「あの〜、hydeさん? 悪かったよ。 機嫌直してよ・・・・」
「寄るな、ボケ」
ソファの両端に離れて座る俺たち。
hydeは座るというより、脱ぎ捨てた服を、
グルグル身体に巻きつけて丸くなって不貞寝している。
「俺のも何とかしてくれよ〜」
「知るかアホ! 自分でなんとかせえっ!」
目の前に極上の欲望が転がってるのに、
それはないだろ。
「俺のもカウントしていいからよ〜」