かわい子ちゃん


「小熊猫(レッサーパンダ)が大熊猫(パンダ)に連れてかれた」
 
なんとなく気が抜けて床の上にへたり込んでいたら、
フルトンが通り際に言った。
 
フルトンの中でHYDEのイメージって
まだレッサーパンダなんだね。
 
「面白くないよぉ、それ、全っ然」
 
って返したら、
 
「OH! JESUS!」
 
何て言うから、
 
握り締めていたピックを投げる真似したら笑ってるだけで相手にされず、
フルトンはそのまま部屋から出て行った。
ホント、面白くないなぁ。
 
 
 
『奇跡なんて信じないけど、偶然は信じる』
 
なんてことを、前にHYDEは言ってた。
才能をフル稼働し、偶然を実力でチャンスにしてきた
HYDEらしい台詞だと思った。
 
 
HYDEと出逢った時のことを思い出す。
あの時渡したCDを持っていたこと、
飲み屋で再会したこと、
電話番号を交換したこと、
15分後の電話に出れたこと。
みんなHYDEにとって偶然な出来事
・・・・・だったらいいなと、
ガラにもなくおセンチになったりした。
 
 
「KAZ〜〜〜?」
 
ドアを開ける気配に、ピックを構える。
アイツ、またからかいにきたのかな?
 
と、目に入ってきたのは、
フルトンより二周り小さなレッサー・・・・
HYDEだった。
 
「おかえり」
「よかった〜、まだおって」
 
トコトコっと、
壁際でヘタってる俺の前まで歩いてくると、
腰に手を当てて俺を見下ろした。
 
「意外と早かったねぇ(夜中回ってるけど)」
「ライブ前の大事な身体なもんで」
 
大事な身体ねぇ〜〜・・・と心でツッコミを入れる。
 
「かわい子ちゃんともうちょっとヤリたいなってね〜」
「えっ?!」
 
何度もこちらをニヤニヤして振り返りながら、
部屋の隅のソファーまで行くと、
そこに置いてあるギターを取り上げた。
 
大事そうに両手で抱え込んで・・・・・・
 
それでまた俺のところにトコトコと戻ってくる。
ストンと隣に座る。
 
「かわい子ちゃん?」
「そっ! 命名、かわい子ちゃん!」
 
「ん〜〜〜、チョー可愛えぇ〜〜〜」
 
まるで頬でスリスリする勢いな溺愛ぶりで、
そういう一連の仕草が凄く子供っぽくって、でも似合ってるねぇ〜。
 
 
「偶然やろ?」
「は?」
 
「うん、店でコイツと出逢ったんだって」
「はぁ」
 
ギターとの出会いを語り始めるHYDE。
 
一度は買うの辞めようと思ったけど、
諦めなくてよかったなって、
電話してよかったなって〜、
まだあってよかったよな〜〜〜って。
 
 
そんなことを言いながら、
『かわい子ちゃん』をスリスリ、ナデナデしているHYDE。
 
 
あ? あれ?
俺、なんかすっごく嬉しいんだけど?
 
なんだか、HYDEとギターの出逢いが、
HYDEと自分との出会いと似てる感じがして。
 
顔、ニヤついてんだけど?
バ・バカじゃん?
 
 
「そのアコギ、そんなに嬉しい?」
「うん」
 
「そんなに可愛いんだ?」
「すっげー可愛えぇぇぇ!」
 
「よかったねぇ、HYDE」(←満面の笑み)
 
「お〜ぅ! 今回のツアー、ギターも頑張って、
俺の全身全霊をみんなにぶっつけまくるからな!」
 
「楽しみだねぇ」
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 
そうして愛しの『かわい子ちゃん』をファンにめでたくご披露後、
気分も上々とご満悦となったHYDEは、
ライブ中盤、今度は違うギターを演奏中に興に乗って目測を誤り、
KAZに自分の全身をぶっつけかまし、
彼を舞台袖に吹っ飛ばした・・・・・

と、いうことがあったHYDEソロ・FAITH初日は、
『ソロ・ぶっちゃけおもろかった出来事』の
歴代10指の1つとして残るのであった。

もっとおもろい話ってありますか?

06.04.05

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