可愛い男


「サクラ〜、どした〜?」
眉間に皺を寄せ、俯いてフリーズ状態のサクラをhydeが覗き込む。
 
「サクラさ〜ん?」
溜息が洩れる。
 
「やちゃ〜ん?」
効果などないことを知りながら思いっきり睨みを効かす。
 
「相変わらず意地くそ悪ぃヤツだな」
「なんのこと? 恐ーい。 hyde分かんなーい」
 
 
 
LIVE中に観客の前でだ。
おまけに少々笑いも取った。
 
 
 
「はぁ〜〜〜」
盛大な溜息だ。
 
「落ち込んでんの?」
「お陰様でね」
「らしくないね?」
「いや、らしいよ」
 
 
 
「・・・・・・うん。 そうだね」
 
 
 
顔を上げて見返えすと、
そこにはやはり笑い顔のhydeがいたが、
艶めかしく色づいていた。
 
首に回された腕も、重ねてきた身体も
仄かに熱く上がっている。
 
 
「仕方ないよ」
 
 
身体の疲れを麻痺させる麻薬のような舌を絡ませながら、
アルコールがまわって舌足らずな口調でhydeが言う。
 
 
「だって、お前のヴォーカルの基準ってったら俺やろ?」
「何か知らねえけど、すげえ自信だな」
 
「当たり前や。 でなかったら今お前とこんなことしてへん」
 
 
相変わらずな、この歳の男とは到底思えないような、
滑らかで舌触りのいい肌。
 
肌蹴たシャツから覗く白い身体に手を滑らせながら、
じゃあ、お前のドラマーの基準は?と、聞き返そうとしたが、
それがとんでもなく野暮なことに気付いてやめた。
 
「hydeらしいな」
「可愛えーー」
 
 
・・・・・・・それは自分のことか? 
それとも・・・まさか俺のこと?
 
 
少々、心にしこりを残しながら、
今のは聞かなかったことにしたほうがやはりいいだろうと、
腕の中で可愛くなりつつある男に、
多少囲まれている気分が拭い切れないサクラであった。

二人とも可愛い
07.04.23
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