MADE IN HEAVEN 2-3


「寝煙草は危ないね」
 
指から煙草を取り上げられてhydeは我に返った。
見るとFURUTONが取り上げた煙草をひとつ吸い、
足元に置いてあった灰皿を拾い上げ、
煙草をそれに押しつけているところだった。
 
「様子、見にきたんだけど」
 
「あんまり色っぽい顔で呆けてるからどうしようかと思った」
「あぁ、すいませんねぇ」
 
「いや、それより汗かいたままで・・・・
 まだ沖縄残ってんだから、夏風邪なんて引くなよ」
「はーい、お父さん」
 
「さっき櫻澤から携帯もらって、FURUTON元気かって?」
「ふ〜ん」
 
「HYDEは元気だって応えといた」
「・・・・・」
 
 
振り仰ぐとまだ十字架の男が見下ろしていた。
思いっきり熱い投げキッスをくれてやった。

 
 
「うーん」
「何?」
 
「どうにもHYDEのそういうのは『ユダ』を連想するね」
「あー、『裏切り者』の?」
 
FURUTONはニヤニヤしながらhydeの腕を取ると、
ひょいっと軽く彼を立ち上がらせた。
hydeも笑いながらFURUTONの腕に掴まり、言葉を続ける。
 
「でもね、ユダがキリストを売らなかったら
 キリストは磔刑で死ななかったんやろ? 
 キリストが人間を救う為に十字架で死ななあかんかったんなら、
 彼のしたことはキリストの望みを叶えたことになるんちゃうか?」
 
「また難しーこと考えてるな。で、つまりどういうこと?」
 
「結局は、ユダに愛されてたってことかな、キリストは?」
「あー、そのほうがあのキスシーンもすんなり納得できるな」
「それにな、裏切ったどうかなんて・・・・
 当人同士の問題でほんまのことなんて他人には分からんへんよね?」
 
もう一度スクリーンを見上げる。
が、機材チェックの終わったそこには
もう何も映し出されてはいなかった。




 
 
         アンタも俺に取り込まれてみる?


既に取り込まれています
 
補足
 
おおもとの考え方はキリスト教聖書の正典から除外された
「グノーシス派」の文書によるものからです。
伝統的なキリスト教(聖書の教えを信仰)とグノーシス派の
簡単は違いは、この世界が絶対神による創造のものか、
旧約聖書の劣った神々による創造のものかというところです。
グノーシス派によると、この世界はそういう劣った神により
創られたのであるから非常に劣悪な状況であり、
そこから正しい知識の導きにより天の家に帰ることが
本当の救済であるということらしいです。
キリストは、この正しい知識・真実を明らかにするために
天から来た人(人なんです)で、神でも主の息子でもないのです。
 
先ほどグノーシス派には神々が多く出てくることを言いましたが、その中に
 
『サクラ』 または 『サクラス』
 
という神が出てきます。
彼はいろんな別称を持ち、「ヤルダバオート」とか「デミウルゴス」とか
「サマエール」などといった名称でも呼ばれたりしてます。
その意味は
 
『愚か者』
他には『最初に産み出す者』とか『混沌の子』という意味などもありました。
 
そしてこの世の中は、この『愚か者』のサクラと『反逆者』のネブロという二神が創り、
自分の姿に似せてアダムを創造したという記述が、『ナグ・ハマディ文書』や
最近発見された『チャコス写本』にもあります。
 
さらに萌を増幅させると、その姿は身体は蛇そして頭は獅子に似た醜悪なもの・・・・
 
『獅子頭』
笑っちゃいましたね。
 

07.02.12

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