
hydeは思う。
隣に無邪気で無防備な姿を晒して寝ている男を見ながら。
激しく愛し合った後、疲弊した身体にお互いの温もりが心地よく、
濃密な思いに包まれながら抱き合って寝てしまうことがある。
だが、少しの身じろぎに意識を戻すのはいつもhydeの方だ。
すると、さっきまで二人で共有していたあの時間が、
急に途切れてしまったような感じがする。
そんな時、その隣で寝ている男の顔を見ながら思うのだ。
自分はこの男のことを好きという感情以上の思いで思っている。
心地の良い低音の響きに癒されることがある。
抱き寄せられて、背中を撫でられる掌の温もりに、
身体の中の芯が溶かされていくように感じることがある。
浴びせられた言葉に心掻き乱されて、一日がざわつくこともある。
そんな無様な自分がいるのも、
こんな滑稽な関係があるのも、そう、この男を
多分、愛しているからだ。
しかし、それは「多分」という程度の範疇を抜けきらず、
すっきりとした確信となるまでには到底至らない。
自分の心など、どこまで行ってもどこにも辿り着けない暗闇だ。
もやもやとした頭を抱え、痛む胸を押さえ、
自分はいつもその暗闇の中を手探っている。
だが、その暗闇を怖がることなく降りていくことが大切なのだ。
そして、その底に辿り着いた時・・・・自分は・・・・
そんな取り留めのない思考の溝に落ち込んでいる時に限って、
意識を薄く戻らせたサクラがhydeの身体を両手で強く抱え込む。

「あぁ・・・・」
その度にhydeは、どこまでも深く永遠に広がるような暗闇の中で、
唯一迷わず確かに自分を導いてくれるだろうその手に全てを委ね、
今はまだ底の見えない意識の深淵に向かい、
いつかそこに辿り着いた自分が迷わぬことを願いながら、
そっと言葉を落とすのである。