世にもくだらないラル面反省会 2


「そうか!下手にチラチラしてっからエロいんだ!お前も上半身裸で歌ったら?」
「それは嫌や」
 
即答である。
チラチラ見せるのは良くて、素っ裸は嫌らしい。
おまけにそれ以上の提案は受け付けないとでも言うように、
再び下を向きお絵かきをし始めた。
 
「なんでよ?」
「俺、サクラみたいに体格ようないし。比較されるやろー。
 それに第一、俺のイメージやないやん」
 
「鍛えたらいいだけのことだ。脱げ、脱げ」
「いっややーん♪」
 
どこか鼻歌じみた返答に、
「こいつ真剣に聞いてねーな」とその手元を覗き込めば、
裸のパンダが和太鼓を叩いていた。
腹に「えろ」とか書いてある。
 
ダンッ!
 
思いっきりお絵かき中の紙に掌を叩きつけた。
hydeが持っていた鉛筆がどこかにすっ飛んでいった。
 
「脱げ! いっそ清々するわっ!」
「やだっ!!!」
「チャラチャラ鬱陶しいんだっ! 脱いじまえっ!」
 
自分でもこんな大声出さなくてもいいだろうというくらいな声だった。
tetsuは「まあまあまあ」と親父臭い止めに入り、
kenは無言で鍋をかき回している。
hydeは怒鳴られたことに明らかに怒っているようだ。
しっかりとした双眉がギリッと上向きに描かれていた。
ところが次には情けないほどそれが八の字に下がった。
 
「・・・・・サクラは・・・みんなに俺の裸見せたいん?」
「え?」
 
いや、俺が言ってるのはそーゆーことじゃないでしょ?
 
「歌っている間、俺の乳が無防備に晒されてても平気なん?」
「お前が言ったんだろ、女じゃあるまいし乳の一つや二つって」
 
「じゃ、そのまま客席に落っこちたり、引っ張り込まれたらどーするん?」
「そのデロンデロンの服でも同じことだろっ!」
 
「んじゃサクラは、俺がそこで撫でくり回されようが抱きつかれようが
 平気なんやなっ?」
「たまには自力で上がってこいよ」
 
「お・俺、そんなん嫌やぁ〜〜〜。 今日、最前列の右っかわにいたヤロー、
 俺がそっちいくたんびに服引っ張って落とそうとしてたんやで。
 なのにサクラは気持ちよさげに後ろで太鼓叩いてるだけやし。
 めっちゃ怖かったんやからなー! サクラのドアホ!!」
 
サクラにもそいつのことは見えていた。
なんだアイツはhydeを見る目が尋常じゃないぞと
気になって仕方がなかった。
正直イラついてスネアをそのまま投げつけてやろうかとさえ思った。
 
「わーったよ、ごめんごめん。裸になれなんて冗談だって。
 俺も裸で撫でくられるhydeはすっごく嫌だな。悪かった」
 
どうやらhydeが怖がっていたのは本当のようで、
捲り上げた腕に鳥肌が立っているのに気が付いた。
フロントマンのこいつには、
こいつなりのくだらない苦労があるんだなぁとサクラは思った。
大声を出したことを少し後悔した。
 
「俺があーゆーのに引っ張り込まれたらサクラ助けてよ?」
「はいはい(きっとその前に血相変えてtetsuが助けるよ)」
 
真剣に覗き込む目に怒鳴ったお詫びのつもりで笑いかける。
怯えきった顔がちょっと可愛い。
いつもそれくらいでいろよと思った。
 
「お二人さん?」
 
kenが、テーブルにへばりついて、カセットコロンの火に引火しそうな
tetsuの髪の毛を、脇へと寄せながら鍋の蓋を閉めた。
 
「「何か?」」
「二人して盛り上がってるとこすんませんけど、反省会してもええ?」
 
「してもええ?って、てっちゃんなんか寝てんじゃん? どーしたの?」
「疲れたんちゃん?」
 
「失礼な! 寝てへんわ」
 
もっさり起きあがったtetsu、髪の毛が山姥みたいとhydeは思ったが、
また変なこと言うと気にするから言うのはやめておく。
 
「アホくさ。もう反省会なんかええからはよぅ喰おう、腹減ったわ」
 
「「「さんせーーーい」」」
 
 
まだまだ青い春真っ盛りという感じの4人。
ライブを一つ終えるごとに、確かな手応えを得、
大阪で一番の次は東京だっ!と、
夢も希望もつついている鍋のようにぎっしり混沌と煮詰まっていた。
 
この後kenを残し、残りの3人はかなり酔っぱらい、
hydeは乳のことで再びサクラに絡み始めた。
 
「だいたいサクラが止めへんから服が伸びるんや」
「なんで俺が止めなきゃなんねーの? hydeさん?」
 
「俺はお前に止めて欲しいのー。 ヘヘヘ〜」
「わっけ分かんねーなぁ。 なーkenちゃーん」
 
「くそー、こんな太い腕しやがって!(カプッ)
「わーーー! な・何噛みついてんだよ、こらhyde!」
 
「マーキングやー。 サクラ、hydeにマーキングされとるで」
「つーと、俺よりhydeのほうが優位ってことかよ、kenちゃん?
 うははははー、ふざけるなよ。呑んでねーだろ?」
 
「いやいやいやぁー、サクラさんのほうが呑みが足りひんちゃいます?」
「何をおっしゃいます、呑んでますよ! 呑んでます! おらーーー」
 
「「わー、サクラののんべえ、すけべえ、やじろべえ(←?)」」
「お前らももっと呑め呑めーーー!!! 呑んで三欲を断ち切るんだ!」
「「おーーー」」
 
「うっさいわお前ら!」
「あ、ヤマンバ(tetsuのこと)が起きた」
 
「こらhyde! 誰がヤマンバやねん!
 お前らうっさい、もー帰れ! サクラ、hyde連れて帰って。
 kenちゃん、後かたづけよろしゅう。 ほなおやすみ」
 
 
反省会などあらず。
きっかけを作ったのはtetsu自身。
kenはちょっとワクワクしながら二人を送り出し、
サクラはこの後、
自分がhydeの裸を撫でくりまわすことになろうとは露知らず、
「どーしたら三欲(食欲・性欲・睡眠欲)を断ち切ることができるか」
なんてできもしないことを真剣に考えながら帰路についたのであった。

本当にくだらなかった

07.03.29

→ 基本はSH6
→ 
top