灰×灰 番外編 


視線を上げたら俺を見ている秀人の目と重なった。
嬉しいのか悲しいのかそれとも苦しいのか、いつも秀人の目の色には戸惑うばかりだ。
ちゅと音を立てて唇に吸い付くと、今度は熱く変温した舌が絡みついてきた。
 
「それから?」
「気づいたら誰かの手が前に回っていて」
 
首筋に舌を這わせながら、俺も手を下に降ろす。
 
「嫌だって身体をよじったのに後ろから押さえ込まれた」
「可哀そ・・・」
 
俺の手は秀人の湿った茂みをまさぐっている。
秀人の喉がゴクリと鳴る。 俺は秀人の喉の骨に食らい付き、その芸術的な動きを舌で
堪能した。
 
「可哀相な秀人。 それから何されたの?」
「チャックを降ろされて、下着ごと揉まれた。 本当に嫌だった」
 
「後ろの奴は?」
「ずっとズボンの上から後ろを触ってた。 ズボンごと指をねじ込もうとしたり」
「許せないね」
 
首を喰らいつかれている秀人は苦しそうな呼吸をしてるけど、俺の手の中の秀人は確実に
変化しつつある。
可愛くてしばらく手の中に納めていた。 
 
「でも・・・・・ね秀。 全然・・気持ちよ・・・くなんてな・・ら・・なかったよ」
「うん」
 
俺に触られている秀人は、湿った呼吸を吐きながら目を瞑って快感に身を委ね始めた。
眼窩に影を落としている長い睫毛が震えていて、それを見るだけで嬉しくなる。
秀人の脚が俺の腰に絡みつく。
 
秀人は温厚で感情を表に出したりしないことのほうが多いんだけど、SEXと性格は別物
みたいで、結構大胆に俺を煽ってくれたりする。
というか、そこまでにやっとなってくれたって感じ?
なのに変なことで恥ずかしがったりして、俺にとってはそのギャップが堪んないん。
 
俺の腰に脚を絡ませた事で露わになった秀人の蕾に指をはべらす。
 
「秀・・・綺麗にしてね」
「指は? 指は入れられたの?」
 
蕾を指の腹で押してると、ソコがヒクヒクしている。
 
「ううん、ズボンの上からだったから。 でもね、無理矢理入れようとしてきたから
 すごく痛かったんだよ」
 
指を進める。
 
「あ、う・・んんん〜」
 
最近の秀人は、俺に指を入れられるだけで感じるようになった。
中で左右に振ってやるとだんだん秀人の身体は前屈みになってくる。
俺は屈んで秀人自身を口でくわえながら、高い湿気ですぐにぬめりが流される指に
ナナさん愛用のボディーローションを垂らした。もちろん、心の中でナナさんには謝った。
受け入れ体勢の秀人とローションのお陰で指はすんなりと秀人の小さな蕾に入っていく。
少しでも固いようだったら、俺は絶対に無理強いして入れたりしない。
秀人の身体にちょっとでも傷なんかつけたくないし、秀人に痛い思いなんかさせたくない。
ま、そのポリシーのお陰で、俺も随分と痛い思いしてきたんだけど。
 
こんなに大事にしてきた秀人なのに、そんな風に粗雑に扱いやがって・・・・・
アイツら、今度どこかで見かけたら絶対に承知しない。
 
そう誓いながら秀人を深くくわえて、さっきまで腰に絡みついていた脚を肩に担ぐ。
「あぁ!」
指の角度が急に変わって、秀人のイイところに当たったみたい。
いつもの秀人の冷静で落ち着いた静かな声から、だんだんちょっと高めの可愛くて細い声
に変化し始める。
 
口の中の秀人も時々ビクンと波打つ。
そういえば、一番最初に秀人にフェラしたとき、秀人びっくりして泣いちゃったんだっけ。
可愛かったなー。
その後の第一声も、
 
「秀、どうしてこんなこと知ってるの? ひぃぃっく」
 
で、可愛いすぎて答えに詰まったんだけど。
ていうか、本当の事が言えなかっただけなんだけどね。
 
「く・・う・・・・ふっ」
 
秀人はもう真っ直ぐには立っていられない。
途中からバスタブのほうに向いてお湯を出し続けているシャワーが、バスタブに張った
湯に勢いよく当たって秀人の喘ぎ声はかき消され気味だ。
秀人の声だけ聞きたくて、シャワーを止める。
 
「あ! い・嫌だ秀。 声が響く」
だからいーんじゃん。  
指をぐるぐるっと中で回すと、秀人すっごい声でちゃうんだよねー。
 
「あー! しゅ・しゅぅ〜〜・・・や・・い・い・・だめ!」
 
秀人の「だめ!」っての、本当に切羽詰まってる感じでていいな〜。 
もっと気持ちよくしてあげるから、もっと言って、秀人。
 
秀人を喉の奥までくわえ込んで根本に手を添えると、俺はゆっくりと口の中の秀人を
出し入れする。指はもっと早く動かす。
秀人は好きなところを掠めてその奥まで突かれるのが大好きなんだ。
 
見上げると、唇を噛みしめて上を向いてる秀人が、左手の甲で口元を押さえていた。
大きな声は漏れないけど、鼻にかかって籠もった喘ぎ声は漏れてくる。
余計に煽られるよ、秀人。
さっきまで宙をさまよっていた右手は、シャワーのホースを手が白くなるほど握りしめ
ていた。
 
「あ・・あ・・・あぁっ・・・ん・・・あ」
 
秀人が可愛い声を出してくれると、とっても嬉しい。
もっといろんなことしてあげたくなる。
 
「しゅう・・しゅう。 もうだめ。 もういいっ・・・だめ」
 
俺は口を離して、秀人の登りつめる快感を手で最後まで促してやる。
 
「あ・・・はぁ・・・・あ・んっ・・んっ・・・はっ・・・はぁ〜」
 
俺の手の中で精を吐き出す秀人の顔。
秀人のこんな表情、誰も知らない。
俺っしか知らないもんね。
 
「気持ち良かった?」
まだ余韻の残る身体で、目を瞑ったままの秀人がコクコクと頷く。
乳首を優しく舐めると、身体中まだ感じてる秀人が身をよじって逃げようとする。
両手で押さえつけてしつこくなめ回すと、仕舞いに鳴き声になる。
 
「しゅう・・・もうやめてよ。 もうやだ。 もう立ってられない」
「じゃ、お風呂入ろ〜よvv」
 
さっき投げ入れた入浴剤のボールが溶けて、湯は乳白色に変化している。
ちょっと甘ったるい香りと、肌にとろりとした皮膜がついて手触りがよく、すごくリラックス
できる。
 
けど、
俺の下半身は全然リラックスしてないんだよ、秀人。
 
バスタブに入ると秀人を引き寄せてキスをした。
一度吐精した秀人は、身体もすっかり落ち着いちゃって、その上まさか風呂ん中では
俺にヤラレたりしないだろうだなんて思ってでもいるのか、舌を絡ませ合うのを楽しみ
ながら、余裕で俺の頭をなでなでしてたりする。
 
俺はどんな条件でも秀人ならいただけちゃうんだもんね。
 
入浴剤効果で秀人の身体はヌルヌルして滑りがよくて、胸なんか触っていても気持ち
がいい。
背中も内股も舌もどこもかしこもいい感触だ。
 
暖かい中で身体を触られまくり、舌も吸われて充分に空気も肺に送り込めずで、とうとう
苦しくなった秀人が俺の唇から自分を引き剥がす。
 
「う・・はぁ・・・。 もう熱い、秀」
「ほんと・・・秀人ん中もすっごい熱いよ」
 
背中を撫でていた手をそのまま滑らせて秀人の後ろから指を侵入。
 
「・・・・・・・さっきから当たってたんだけど、ココでヤルつもり?」
「うん」
「コレってどうなのかな?」
「シたことないから分かんないね」
 
「ん〜」といいながら、それでも秀人は俺を跨ぐ。
飄々としてるけど、好奇心旺盛なところは双子同士よく似てる(笑)
俺が感じる秀人の中は、身体にまとわりつく湯よりも温かで心地いい。
 
「すごいね、秀」
「秀人のと同じサイズだけど?」
「あはは・・」
 
秀人の胸に舌を這わせながら腰を動かす。
湯がちゃぷちゃぷと揺らめき出した。
いつもは掛かる秀人の体重が浮力で半減されて、ん〜、少しヤリにくいかな?
そこは秀人も感じてるみたいで、一緒に腰を動かして協力してくれてるみたい。
湯がバスタブからばしゃばしゃと飛び散り始めた。
 
「し・・・しゅう」
「なに?」
「ちょっとやめて・・・だめ」
 
秀人を見ると「ヤバイ」って顔をしている。
 
「だから、なに?」
「お湯がさ・・・あ・・お湯が入ってくる!」
 
へぇ〜、そうなんだ。 俺は構わず腰を突き動かす。
 
「やめて秀! 苦しい!」
 
でも、半分は気持ちいいんでしょ、秀人? 乳首がすんごい勃ってるよ。
 
「あぁぁぁあ、しゅう! いやだ、もう我慢できない。 早くやってよ!」
 
俺の上で身をよじりながら嘆願する秀人なんてレアレア。
ごめんね、もうちょっと見させて。 ってゆーか、俺自身がもうちょっとだから。
その後秀人は、背中を仰け反らせたり、俺のリズムに一緒に身体を動かしたりしながら、
「しゅう!」とか「お湯が!」とか叫んで、最後には
「抜くな! 中でしろっ!」
・・・・・だって。
 
最中に俺に命令口調の秀人なんて初めてで、それだけ秀人が切羽詰まってるのかと
思っただけで、俺は簡単にイッてしまった。 「はいっ! お兄ちゃん!」って感じで・・・・
まだ、俺にしがみついて呼吸を整えている秀人。
俺の肩に顎をのせてはぁはぁ言ってる。
名残惜しいけど、いい加減風呂からあがんないと本当にのぼせる。
ゆっくり秀人から出ようとしたら、秀人がまた俺にしがみき、それから言った。
 
「秀。 お願いだから僕から出たら早く脱衣所に行ってね」
「はぁ?」
「お願いだからっ!」
「??? うん」
 
秀人に言われたとおりにして身体をバスタオルで拭いていると、バスタブから秀人が勢い
よく
飛び出る音がした。
その後、シャワーを目一杯出しながら・・・・
 
「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
 
なんて言ってる。 
あ、なんとなく想像がついた。
ごめんね、秀人。
 
 
 
火照った身体にヌメ革のソファは気持ちよかった。
清潔な下着、整っていい香りのする部屋、一緒にソファで丸くなれる大事な人。
朝の嫌な事が忘れられる。
俺は秀人を腕に抱きながらふかふかのタオルケットで自分たちを包んだ。
目が覚めたらきっとナナさんがいて、また僕たちのことを「子猫ちゃん」呼ばわりをする。
食卓にはおいしそうな彼女が腕を振るった夕食が並べられている。
俺達は聞く。
「ナナさん、今日はどこに行ってたの? 楽しかった?」
ナナさんも俺達に聞く。
「子猫ちゃんたち、今日も一日楽しかったのかしら?」
俺達は答えるだろう。
 
「うん。ナナさん、今日もなんにも嫌なことがなくって、とっても楽しかったよ」
 
 
 
数日後、ナナさんお手製のフルーツヨーグルトでパキッと目を覚ましていた俺達に、
彼女が言った。
 
「そーいえば、一週間ほど前ここにあったジャケット、どなたのかしら? しゅうちゃんや
 ひでちゃんのじゃないわよね? サイズも少し大きめだったし」
 
あ、ヤベ。 すっかり忘れてた。
 
「あ、僕がね、ちょっと電車の空調にやられて気分悪くなったときに隣りにいた人が貸して
 くれたんだ」
「そうだったの」
「うん。 奇特な人で、それ返してくれなくっていいって。 だからすっかり忘れてた」
 
うん、全然嘘じゃない。 それに、不思議と秀人が言うと全く胡散臭くないな。
 
「一応、クリーニングに出しておいたわ。 明日取りに行けるから。 会えるような機会が
 あったらお返ししてね」
「「はーい。 ありがとうナナさん」」
 
会えるような機会があったら避けるよ。
 
「それにしても、最近は本当に恐いことが身近で起きるのね」
「どうしたの、ナナさん?」
「ひでちゃんも気をつけなさい」
 
新聞を広げたナナさんがコーヒーをひと口飲むと話を続ける。
秀人が隣りに立って新聞を覗き込んだ。
 
「ほら、この電車。 あななたちが通学で時々使う路線でしょ? 
 サラリーマンの人が帰りの満員電車で切りつけられたんですって、カッターで。
 あらまー、お腹と下半身に全治二週間の怪我ですって、恐いわね」
 
「通学の時間帯ではないけど、恐いね。 これからナナさんが用事のあるときは
 TAXIで通学するよ」
「そうね、しゅうちゃん。 それがいいかも。 そうしなさい」
 
ちょっと秀人の視線が痛いけど。
 
「ナナさん、今日の朝食もおいしかったよ」
「ありがとう。 じゃ、行きましょうか」
 
今日のスタートはまずまずの気分。
俺は秀人と自分の鞄を持ち、秀人の腰に腕を絡ませながら上機嫌で玄関に向かった。
 
07.06.12

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