雪の足跡


『パパー、さくらぁー、後ろ見てー』
 
しばらくすると、抱っこされている眠そうなチビhydeが後ろを指さして言った。
チビhydeパパとサクラおじちゃんは同時に振り返った。
 
『また足跡がふたつになったよー』
 
チビhydeの瞼は今にもひっつきそうなくらいだ。
 
『お家につくまで少し寝ててもいーよ』
 
眠っている子供は重たいよーなんてことを言いながら、
チビhydeをサクラおじちゃんに預けたチビhydeパパは、
路面に並ぶ足跡を眺めると、サクラおじちゃんに抱かれてウトウトし始めたチビhydeを
サクラおじちゃんごと抱いて頬にキスをした。
 
サクラおじちゃんはチビhydeパパのその姿を見て顔をだらしなく緩ませたが、
チビhydeパパはその後サクラおじちゃんに、寒さで赤くなった鼻に皺を寄せ、
「べー」と舌を出した。
 
腕に感じるチビhydeの心地よい軽さと、肩にある今でも綺麗だと思う人の温かさ。
 
この先、決して交差することなどない足跡。
それがひとつになろうが、ふたつになろうが、
あの時二人で見たツリーの思い出をサクラおじちゃんが
いつまでも大切にしているように、
この優しい時間もきっと自分を守ってくれる。
サクラおじちゃんは思った。
 
そして、誰にも同じく降る雪のように、
こんな愛しき想い出が誰の上にもそそがれて、
日々の糧となりますように。

サクラおじちゃんはゆっくりと雪の上を踏みしめながら
もう一度願った。


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07/師走
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