「という、実に有意義な話し合いをしてたんや」
「中年の域の連中が集まって、実に有意義な時間の過ごし方だな」
迎えに来たサクラの車に乗り込みながら、
さっき感じたスタジオ内のメンバーの微妙に浮ついた雰囲気に疑問を感じたサクラが、
「お前、また何かあいつらで遊んでただろ?」という問いに、
面倒臭そうに説明をしたhyde。
あの後、
「な? 自分の使ってや最中の説明って気恥ずかしいけど、
こんなグッズでワイワイやれば結構自分の願望言えたりするやろ?」
などと、やっぱりラニバとは関係が全くないが、
フェラ普及推奨委員会会長としてはもっともな言い分を真顔で主張し、
他メンバーを煙りに巻いたhydeは、
「てっちゃん、今日はもう帰ってもええかな? 俺、疲れたから」
先ほどメールで呼びつけたサクラが迎えにきたのを良いことに、
さっさと帰り支度を始めた。
スタジオを出るとき、
「まだ1TAKE練習残ってるんやけど?」
と言うtetsuに、
「ふーん、大変やね。お疲れさま。これでも舐めて疲れ取ってな」
サクラが持ってきてくれた自分の鞄から大量のキノコ飴を取り出し、
手渡しながら気の毒そうに応える。
そして、
「ちなみにさっきのまら飴は囮。ツアー中にプレゼントされちゃってー、どうよコレ?
なんてアレ見せた後、んじゃこれは俺だと思って舐めてねーって渡すと、
おちゃめなおっさんときのこの可愛らしさも手伝って
警戒心解ける上に、掴みもOKだから」
と言いながらも、kenやyukihiroには男根飴まで渡している。
「はい、kenちゃん。 はい、ゆっきぃ。 プレゼント、頑張ってね」
「hyde、なんで俺にはそれ(まら飴)くれへんの?」
大量のきのこ飴を抱えながらtetsuが訊ねる。
「え〜〜、やってコレ、きのこと実物の大きさのギャップがないと
「何よ、やっぱりそうなのね」って不発におわるから(くすっ)」
抱えきれないきのこ飴を持ったtetsuがトイレに籠城したため、
その日の練習はそれで強制的に終了となった。
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「なんつーか、変わらないよな」
車に乗り込むや、シートを自分好みの角度に倒し、
両足をフロントボードに載せ完全くつろぎ体勢のhydeを横目で見ながら、
先ほどの情景を思い浮かべ、サクラは笑った。
「うん、変わってへんね」
鞄に残っていたきのこ飴を取り出し舐めながら、やはりhydeも笑っている。
「中年の子供や。 キラキラしとんねん。 ソロじゃそれぞれ格好ええのにな。
たぶん・・・ずっと変わらへんわ」
「羨ましいな」
「お前かてそこにおったやんか」
「光栄です」
車の後方へと流れていく街の光。
サイドミラーには夜なのに真っ黒なグラサンを掛けた自分と、
その後ろにギラつく色とりどりのイルミネーションが映っていた。
決して全てが上品とか美しいとか洗練されてるとかは言えない光景だけど、
それでもいいじゃん、住み心地も結構気に入ってる。
「hydeー?」
「んー?」
「俺にはそのまら飴ってのお土産にはねぇの?」
「お前にはやらん」
「何で?」
「・・・・・・」
「誕生日プレゼントでそれくらいください」
「あ? そっかー、お前今日、誕生日やったな、おっさん」
こんなところもお互いに相変わらず。
でも、だから長続きする付き合いってのもあるよね。
「くれよ」
「やらん」
「何でーーーー? おっれも欲っしぃなーーーー♪」
「分かっとるやろ? ざーとらしー」
「・・・・・・・・・」
hydeは口からきのこ飴を取り出すと、鼻の下が多少伸びた
ニヤケ顔のサクラの締まりのない口に押し込んだ。
こいつもいつまでも子供や、変わらへん。
「うえっ、甘っ。 甘過ぎるのは飽きるし勘弁だな」
だーいじょうぶ。俺は甘くないから。
やけど俺のほうに甘いのは全然平気やからね。
「さーて。 これからどーしますか、サクラさん?」
「おっまかせくださーいっ!」
突っ返された飴をもう一度口に含みながら、
hydeはラニバのリクエスト曲を口ずさみ始め、
アクセルを踏み込み一気に加速する揺れる車窓の中の横顔に一笑した。
まら飴を買いました
06.11.19
終
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