熟(な)れない夜


「背中ビショ濡れだぞ」
 
不意に後髪を掴み上げられて、
「へ・あぁ?」
マヌケな声を上げてしまった。
 
「何だ?」
含み笑いをされながら背中を拭かれ、
肩に生温い舌の感触を受けると、
余りにも自然なその行為の流れと、
まるで女のような扱いと、
さっきまでドギマギしていた自分に何だか腹が立ってくる。
 
「俺、まだ髪の毛濡れてんやけど?」
「ふーん」
 
髪を掻き揚げた首筋に音を立てて吸い付かれた。
 
「ヤるなんて言ってないんやけど?」
「へぇー?」
 
おい。
これ着せたんは「脱がしやすいから」
なんてゆーなよ。
 
「ここでヤんの?」
「あ?ヤるんだ?」
 
「ニコッ」なんて笑いながら身体に覆い被さってくる。
こういうところズルイと思うわ。
 
「じゃヤんなくてもエ・・・」
「俺はシたぃ」
 
今度は真顔、しかも吐息。
あ〜ヤダ、ホントにコイツはコマシや。
お前環境変えてヤってみたいだけやろ?
 
で、こんなんで流されて反応してる俺はもっとヤダ。
ヤダヤダヤダ・・・・・
 
 
「ん・・・」
 
サクラとのキスは慣れた。
少し香る煙草はお互い様や。
でも、それ以外のキスはまだ戸惑う。
俺の身体中に接吻しながら、
コイツは何を思ってるんやろう?
 
SEXのプロセスは相手が女でも男でもそう大差はないんだと分かった。
 
大有りなのは自分の状況で・・・・
俺は脇を撫でられ軽く喘ぎ、舌を吸われて眩暈する。
 
閉じそうになる足を肩に担ぎ上げられて、
露になった性器を羞恥する間もなく咥えられる。
 
その後の纏わりつくザラリとした肉の感触や、
吸い上げられて足の甲からやってくる痺れや、
中心に込み上げてくるもどかしい思いは同じ。
 
違うのは、
 
「う・・って」
 
コイツッ! 今日はいきなり3本挿れやがった。
 
暫くはグルリと肉壁を弄ばれたり、肉襞を擦られたり、
そんな感覚がはっきりしてるけど・・・・
その内、どっちに感じてるのか分からなくなってくる。
 
時々指が掠めるいい場所に声が跳ねたり。
 
「う・・ぅ、い・・・ぃってぇぇ・・・・あっ!・・あっ、んん・・は・あぁ〜」
「痛いのか、イイのかどっちなんだよ?」
 
「分かるか・・そんなんっ」
 
いや、気持ちエエよ、多分。
きっともっとヨクなる。
もっと身体を探り合えば、
声も我慢できないくらいになる。
でも、
 
指を引き抜かれて、腰を持ち上げられて足掻く。
 
「ち・ちょっと待てよ、挿れるの? サクラ」
「・・・SEXだから・・当たり前だろっ。 それに何を今更・・・」
 
分かってるよ。
分かってるけどね。

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