milky way


誰かが廊下を歩く足音でうとうとしかけていた意識を起こされた。
 
誰やろ? kenちゃん? hyde?
 
夜中の2時やで。
トイレかいな?
寒いし、近くもなるわな。
 
そう思っている間もなく、足音の主が階下におりて、
玄関の扉を開ける音がした。
 
外出て行きよったんか?
誰や?
こんな時間に何しに行きよんや?
kenちゃん?
夜遊びゆうてもココそんな遊びするようなところないで?
(そーゆーとこ選んだんやからな)
 
そのまま寝てしまってもいいものを,
メンバーの動向が気になるリーダーの性か、
元来の心配性か、
開ききらない目をしばたたかせて窓から外出者の姿を追う。
すると、ロングコートのフードを頭からすっぽり被った小さな後姿が、
丁度辻を曲がって消えるところだった。
 
hyde!
なんやアイツ、今頃のそのそ起きてどこ行くんや?
 
昨日中には帰ってくる予定をしていたtetsuが
市内に一緒に行ったスタッフの車に乗せられて
帰り着いたのは、
日付も変わったつい先ほどのことだ。
 
当然、kenもhydeもその頃には夢の中で、
小腹が空いたtetsuが帰った後のお楽しみにとっておいた
デザートは、
冷蔵庫からkenの胃袋に既にワープした後だった。
 
こんな時間に一人で外を出歩くなんて。
田舎とはいえ何かあったらどないするんや。
あぁぁぁぁ〜〜、もう〜〜。
 
せっかく着た寝巻きをもう一度脱ぎ、
脱ぎ散らかした洋服を拾いながら再び着ると、

上着を引っつかみ慌てて戸外に飛び出る。
 
外に出てその夜は月が明るく照っていることに気がついた。
空気が澄み、人工の明かりのない夜空には
明るい月に負けないくらい星もたくさん見えていた。
 
hydeがさっき曲がった辻。
同じ方向に曲がって目を凝らすと、明るい月明かりのおかげで黒く浮き
上がった影が次の角を曲がるのが見えた。
 
急いでその後を追う。
こんな時間に一人で外を出歩くhydeの後姿。
いつもより小さくて頼りなく感じた。
 
 
角を曲がると少し開けた広場があり、
幾つか素朴な手作りの木製ベンチが置いてあった。
 

そのひとつにhydeは夜空を見上げてちょこんと座っていた。
 
 
「hyde?」
「わっ! 何!? t・teちゃん?」
 
後ろから声を掛ける。
なるべく驚かさないようにしたつもりだったのだが
案の定、hydeは背中が飛び上がるほど驚いた。
 

「何?やないやろ。こんな時間に外に出て、心配するやんか」
 

前に回ってフードの中の顔を覗き込む。
割と普通の表情をしていて、少しほっとした。
 

「あ、ごめんね。 追いかけて来てくれたん?」
「どこ行くか思うやろ?」
 
hydeが空けたベンチのスペースに座ると、
小さなベンチは二人で丁度いっぱいになった。
 

「う〜ん、何かね。いろいろ頭の中整理しようと思うて。
今までのこととか、ちょっと詞なんかも浮かんできたし」
「ふ〜ん」
 
「それでね、頭冴えさすのに外のほうがエエかなぁって」
「それ、こんな夜中でなくてもエエやろ?」
「・・・静かやったし、月とか星とか綺麗やったから」
「・・・まぁエエわ、らしいし」
 

そこまで会話して後が途切れる。
hydeはまた夜空を仰ぎ見始めた。
 
寒いけど、眠たいけど、まぁエエか。
 
小さなベンチに身体を寄せ合って、触れてるところだけは暖かい。
たくさんの星の下でこんなふうにhydeと隣り合って座っているなんて、
なんだかおかしな気分だった。
 

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