斎藤 仁に降りかかった災難  1


注:斎藤 仁さんを尊敬し、敬愛してらっしゃる方は、読んじゃいけません
 
 
少し仮眠を取ろうと、うつらうつらしかけたところで人の気配を感じた。
とは言うものの、眠りに入り始めた身体には目蓋を押し上げる力もない。
 
さっき食べたインスタントラーメンも小腹にちょうど良く収まって、
この部屋の主がいつでも睡眠を取れるようにと衝立で仕切られたこの空間に、
私はすっかりちゃっかり腰を下ろし、
 
尚且つ、実は仮眠なんてものではなく、
本格的に居眠るつもりでいたのだ。
 
今、ここには僕(斎藤仁)とhyde君しかいない。
音入れの地道な作業に、最近はスタッフ共々この空間に篭りっ放しだ。
今日は、久しぶりのオフの日としてはみたものの、
完璧主義のhyde君に付き合っての作業というわけである。
 
しかし、僕が今ここにいるということは、
「100年に1人出会えるかという天才」と一緒にいるということで、
それは、とてつもなく僕にとって刺激となることであり、
また、音楽人冥利に尽きる幸せな事なのである。
 
・・・・・・・・?
人の気配が1人じゃないな?
 
 
「あれ? ここにも斎藤さんいてないなぁ〜。 どこ行ったんやろ? 
 食いもんでも買いに行ったんかな?」
「お前の言うとうり、しょっちゅう何か食ってんのな」
 
「ハハ・・・、でもな、いい人やで〜。 そこの衝立の向こうででも寝てへん?」
 
だ・誰なんだー?
僕とhyde君、二人だけの空間(今は)に土足で上がりこんできた輩は 
 

そう思っていると、その輩がこちらに向かってくる気配がする。
僕は、「一体お前、どこのどいつなんだ?」
の面構えでその輩を待ち受けることにした。
 
衝立の、たぶんその辺りから顔を出すだろうというところを睨み続けてやる。
その輩は、案の定そこからヒョイと顔を出した。
 
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 
当然、目が合う。
 
あ、彼は、hyde君絡みでいい噂も、悪い噂も、訳分からない噂も聞く
櫻澤とかいう輩ではないかっ!
 

僕が困惑した表情を私が浮かべると、
 
ニヤ〜
 
と、彼は笑い、衝立の向こう側に引っ込んだ。
 

「hyde、誰も居なかった」
「そう? おっかしいなぁ? ホンマどこ行ったんやろ? 
 折角サクラ来てくれたか
ら、紹介しよう思ったのに」
「またでいい」
 

え? 誰も居ないって、いるじゃないか!
 ここに! 
目が合ったじゃないか!
なんと不躾な輩なのだろうか! 私のことを無視するつもりか?
これは、一刻も早く姿を現し、
hyde君に食い物を買いに行ったわけでは
ないことを・・・
いや、違う! 
私がここに居ることを無視した輩の非礼を訴えなくては
 

「あ・・・ち・ちょっと、サクラ?」
「ん〜」
「何? この手?」
「何?って、抱き寄せてんだけど、お前のこと」
 

・・・・・は?
 
「何で?」
 
そう、何で?
 
「何で?って、久しぶりに二人っきり。しかもここ防音完璧。ヤルしかないだろ?」
 

二人っきりじゃないだろっ! 
いや、二人っきりで防音でヤルって・・一体何をヤルつもりなのだ!
 

「冗談! 何でここで? それに、斎藤さんいつ来はるか分からへんってのに!」
 

hyde君、その輩が何を考えているのか知りたくもないが、
私はここに
最初から居るんだよ!
今だ! 今が飛び出すチャンスだ!
 

「h・・」
「さっき部屋入るとき、ロックしといた」
「どうして!? お前は、こういうときには抜け目がないんや! 
あっ!だから離
せっての! んん〜」
 

yde君、と出て行こうとして、衝立の繋ぎ目から私は何やら不思議な
光景を見た!
 

hyde君、左手首しっかり捕まえられ
頭は髪の毛ごと引っ張られ上を向かせられて
後ろ姿で分からないけど、これは明らかに、アレしてる態勢に見える
あの失礼な輩の頭とhyde君の頭が微妙に重なっているし
噂どおり、二人はそういう関係だったのかー。 ショックだ
「ちゅ」とか、息の漏れる「あ」とか「は」とかそんな音も聞こえる!

ハッ! そんなの「マニピュレート」している場合ではないっ
これは、本当に今飛び出なければ、えらいことになるのでは?
 

「h・・」
「は・・やめいよっ! サクラ」
「聞かねぇ。 どんだけヤッてないと思ってんだよ」
 
「今、ここででなくても・・あ」
 

あ・・って、hyde君?
 
 
「今、ここがいい。興奮する」
 

ふっ、そりゃそうだろう。 何てたって私がいるの知ってるんだから
・・・・・・・・って! ちょっと待てー! わざと? わざと? 何でー?
 
「ここって! ここ仕事場!」
 

あぁ、また出る機会を逃したようだ。
 

「んなこと言ってる割には、お前だって久しぶりで、
 身体、全然抵抗できてねぇじゃん?」
 

あ〜ぁ、スルスルってシャツ脱がされちゃった
早業だなぁ。手馴れてるなぁ
hyde君の背中って綺麗だなぁ。 
羽根のあんなタトゥーが似合うの、彼ぐらいなものだろうねっ
 

「ばっ、な・何脱がしてんのゃ」
「着たままでのほうがいいのか?」
「ちゃう〜っ!」
 

『着たまま』っての、何かすっごく即物的だなぁ。
何だか『OL昼下がりのイケナイ情事』みたいになってきたんだけど
 

「こ・ここはな、俺の仕事場。神聖な場所! お前、急におかしいぞっ! 
 あ、や・やめぃ! 」
「俺にとってはhydeの身体も同じように神聖なんだ。 おぉ、見事にリンクしたなぁ」

「サク・・うわぁっ!」

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