誤解が生んだ奇跡


常日頃HYDE様を愛してくださっている皆様方、ありがとうございます。
わたくし、hyde様の執事でございます。
いつも主共々大変お世話になっております。
 
皆様もよくご存じでいらっしゃるかと存じますが、わたくしめの仕事は、
HYDE様の身の回りのお世話でございます。
身の回りのお世話と申しましても多義に渡り、一言で申しますならば、
HYDE様が日常をご機嫌麗しくお過ごしになられるようにすることが、
わたくしめの仕事と言えるかと存じます。
 
さて、長年HYDE様にお仕えしておりますわたくしめでございますが、
もちろんその間には失敗もし、HYDE様の逆鱗に触れてしまったことも
ございました。
しかしながら、わたくしめの主人HYDE様は、人並みならぬ温和な性格
でございますがゆえに、わたくしめの許しがたい手抜かりにも、最後に
は温かいお言葉とともに快くお許しくださったものでございます。
 
が、この度のことはわたくし、いかにHYDE様にお許しを願おうとも、きっ
とHYDE様はわたくしめのことをお許しくださらぬことと覚悟しなければな
らぬほどのものと思っております。
 
あぁ! わたくしはどうしてこんな愚かなことをしてしまったのでしょう!
ハロウィンホテルの部屋の柱を掃除している間に体が挟まってしまうな
ど、今から思えば愚の骨頂。
しかも挟まったうえにそこから抜け出ることができないとは!
執事としてあるまじきこの愚行、なんとゆう無様さ!
先代執事(わたくしめの祖父)にどう申し訳を立てればよいのでしょう。
 
いえ、問題はそんなことではございません。
問題は、今この部屋にHYDEISTのDOLLY流星群を見に来られた櫻澤
様とHYDE様とそしてわたくしめが同室しているという事実でございます。
  
こんなことならお二人がお部屋に入ってきた時に、恥を忍んでお声をか
けるべきでございました。
 
今、お二人はバルコニーにてDEIST内に流れる流星群を、お互いの腰に
手を回しながらご覧になっておられます。
本当にこのお二人は仲がおよろしゅうございます。
HYDE様も普段ではされないご表情を櫻澤様の前ではされたりなどして、
わたくしはそんなお二人を傍らで見るにつけ、ほのぼのとした気持ちにな
るのでございます。
 
しかし、この限られた視界の中でわたくしが次に見た光景は、ほのぼの
どころか柱の間で卒倒しそうなものでございました。
 
バルコニーから移動したお二人は、事もあろうにわたくしめの目の前でお
互いの唇と唇を重ね合わせ・・・・・
接吻していらしたなどとはしたないこと、HYDE様に対して申し上げること
などわたくしできません!
 
わたくしは、日頃より櫻澤様とHYDE様のお二人が大変に仲がおよろしい
ことは重々承服しておりましたのですが、お二人がよもやそのような感情
をお互いにお持ちになっていらっしゃったとは夢にも思っておりませんでし
た。
執事失格でございます。
HYDE様は愚鈍なわたくしめに対してお気をお使われになられたことも多々
あったのではないでしょうか。
知っておりましたならばわたくしといたしましても、お二人のことでいかよう
にも対処のしようがあったのでございましたのに。
もう、遅うございますね・・・・・。
お許しくださいHYDE様。
 
ですが、HYDE様は櫻澤様とプライベートでいらっしゃるときには、なんとも甘
いお声でお話になられるのでございますね。
少しアルコールも入っておられるのでしょうか?
あぁ、お飲み物もお給仕せず、本当に申し訳ございません。
 
あ? あ、あのち・ちょっと櫻澤様。 何を?
あー、そ・その棺桶は・・・・このお部屋の棺桶は当ホテルにおきましても特
別年代物でございます! 
かのドラキュラ伯爵から譲り受けたものでございますのに。
あー!!! ベッドから引きずりおろすなど! な・なんと!
 
HYDE様もこれには少々お困り気味のご様子でございますが、なにせ温和な
HYDE様のこと、そのようなことで櫻澤様に対してお声を荒げるようなことはな
されませんね。さすがでございます。
 
「あほぅ! サクラ、お前なにしてんだよっ!」
 
・・・・・HYDE様は本当に櫻澤様とは素のお付き合いをしておいでですね。
それより櫻澤様、ベッドに土足。
それに、「見せてみろよ」とは?
櫻澤様はいったいHYDE様の何を見たいというのでしょう? 
あー、櫻澤様、お靴をお脱ぎになったならベッドからおおろしになってください
ませ!

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