「見せるだけでええん?」
「んー、見るだけじゃだめなのか?(にやにや)」
「それは見てから決めぇや」
HYDE様。 なぜ上のお召し物をお脱ぎになられるのですか?
あぁ! 分りました。 最近おつけになられたお胸の飾り物のことでございま
うね。
え? それを今ここで櫻澤様にお見せになられるのですか?
「見るだけじゃだめ?」とは?
見るだけではいけないのしょうか?
わたくしも見せていただくだけにとどまっておりますが?
ししかし、何度見てもお美しいお背中でございます。
程良く筋肉がおつきになられて、それでいてこの女性のような滑らかさとなだ
らかさは、HYDE様独特のものでございますね。
お肌が白いので白い羽根が浮き上がっているかのようです。
最初そこに墨をお入れになるとお聞きしたときは、何とも勿体ないと思ったもの
でございますが、こうしてこのお背中の羽根を拝見しますと「こうあるべき」お姿
であったと思わざるを得ません。
櫻澤様、眉間に皺をお寄せになられてまじまじと見入っておられますが(笑)
HYDE様も少し俯き加減で、正座されて櫻澤様のご表情を伺っていらっしゃる
ご様子が、なにやら心配そうで少々可愛らしゅうございますね。
「嫌なん?」
「いや、痛そうだなと、うん」
「もう痛くないよ、 ほら」
H・HYDE様ーー!
そ・そのようにご自分から櫻澤様のお手をお取りになってご自分のお胸に誘う
など!
あ、いえ、同性同士なのですから別に何の問題も・・・・・
いやいやいや!
先ほどの接吻でお二人の仲がどのようなものか、わたくし、認識しているはず
ではないか。
ということはこれは、わたくしは今、大変難しい立場に置かれているということ
ではないのか?
「乳首が三つあるみたいだな」
えーーーー!!!!
「俺な、胸の感度、これしてから増したんやでぇ」
わーーわーーわーー!!!!
「どういうこと?」
「だってさ、これ乳首貫通してるのよ。 ピアス触っただけで芯から疼きよん」
はぁ・・はい・・ど様〜〜〜。
私は何も聞いておりません。何も聞いておりませんから!!
「例えばこんな風にしたら?」
「んふ・・・・ええ感じ」
だ・駄目です!
わたくしごときがこのようなお二人のお姿、拝見すべきではない!
これは櫻澤様にわたくしの今の状況をお察ししていただくしかっ。
櫻澤様ーーー!! わたくしめが、これ、ここに! ここにーー!!
「ん? どしたん、さくら? 俺の後ろに何かいる?」
おおーーー!! 櫻澤様、駄目です、駄目!
わたくしめのこと、HYDE様にはご内密に〜〜〜〜〜〜〜。
お願いでございます。 お願いでございます。 お願いでございます。
「あ、いや。 ただのオブジェだった。 この部屋、いろいろと装飾が凝って
るからなぁ」
「俺だってこれからいろいろと凝るもんね」
「うわ、H・HYDE?」
あぁ〜〜、一難去ってまた一難。
なぜわたくしごときただのオブジェが櫻澤様の両手を取ってご自分の胸に
押しあてているHYDE様のお姿などを拝見しなければならないのでしょうか?
櫻澤様のあれほどまでに困惑しきったお顔、わたくし初めて見ました。
いえ、わたくしめが櫻澤様にそのようなお顔をさせているのですね。
「なんやその顔。 お前ほんまは気に入らへんのやろ?」
「あー、そういうわけじゃないよ」
「ピアス屋のにーちゃんがゆうとった。大抵のお相手さんは萎えますよって」
「だからそういうわけじゃないって」
申し訳ございません、櫻澤様。
わたくしめのせいでHYDE様にあらぬ誤解を生じさせてしまったようでござい
ます。
「はいはい、分かりました。 どーせ俺は両の乳首に穴開けて感じてる変態
ですよぉ」
「だからさ、そうじゃないんだって」
「それじゃ、することあんだろうっ!!!」
あぁ、あのように身を震わせるほどご自分のお怒りを露にされ、そのせいで
ほのかに上気した頬や、噛み締められた唇の紅さでますます薫り立つように
美くしさおなりでいらっしゃるhyde様を前に、櫻澤様がどれくらい我慢おできに
なるのか少し見ものではございますが、できましたら我慢を通していただきた
いわたくしでございます。
「ずっとツアーで、会えたの久し振りなんだしね。
お前だってどこで何やってんだか、つかまえるの大変なの分ってるやろ?」
出ました泣きのhyde様。
激しい高ぶりを見せた後にこのようなしおらしさを見せつけられては。
それもご自分のことを慕われて。
あのhyde様が!
あのhyde様がでございますよ!
はっ!
・・・・・・・・・・・・・
よく考えましたらわたくし。
自分のことばかり考えてhyde様のお気持ちを考えてはおりませんでした。
あのように櫻澤様にすがっていらっしゃるというのに、わたくしは自分の都合ば
かりを考えて・・・・・・
わたくしめ、危うく執事の本質を失うところでございました!
さあ! 櫻澤様! わたくし、このように目を閉じておりますので。
さらに、御覧ください! このように耳も塞いでおります!
ですからどうか! hyde様のお心をお汲みくださって、どうかお二人の忙しい合
間のこの逢瀬を成就なさってくださいませっ!
「サクラ、お前心底困った顔してる。 そんなに・・」
「嫌っていうわけじゃないんだけどね」
「じゃ、触ってよ」
き・聞こえる。
わずかですが聞こえてしまいます、HYDE様!!!
「って、いたぁぁああああぁぁぁぁい!!」
「うわ! ごめん!!!」