kenの電話でその話を聞いたのは、2週間程前だ。
サクラんとこには来てへんわな?
何が?
hydeの質悪いコアなファンや
そんなの今までだっていたろ?
顔とスタイルは並上なんやけどな、尋常やないねん。
hydeのこと知るためやったらな、 どんなことでもしよんのや。
めっちゃエグいねん
hydeは?
・・・・・気づいてへん
・・・・・相変わらずだな
気づいてもろてもかなんし、 かといって気づかずにいてられんのも 危なっかしゅうてな。
あちらさんもだんだんエスカレートしてきて、 そろそろ限界なんや
kenが俺に弱音を吐くということは、 本当に限界なんだろう。
件の男に話したものかと迷っている間に、 俺はその並上女と遭遇した。
頭のてっぺんから爪先まで、私はhyde至上主義を
間違った方法で主張しまくりの並上女。
俺を見つけた途端腕に纏わりついてきた。
偶然、感激、興奮、我好貴音
・・・・・ウソつけ! キイキイキイキイ、不協和音の連続だ。
あぁ、分かったよ。
アンタの取引応じましょう。
そうそう、これは合意の上ってやつ。
暗黙の了解だよ。
なんてね。
ken、この女ほんとこいつえげつないな。
既成の事実ってやつの後で、並上女は商談を開始した。
hydeのファン?
分かってるよ。
会いたいって?
多分、それ無理。
だって、アンタ俺と犯っちゃったもん。
俺言うからさ、hydeに。
あ〜、そこで固まんないでくれる。
そゆこと言えるんだよ、俺ら。
それにアンタ間違ってるよ。
商談ってのは互いの利益を天秤に掛けて釣り合わなきゃ 成立しないの。
俺の中でhydeとアンタ、釣り合うわけないだろ。
おわっ、すっげ、豹変って目の当たりにしたの 初めてだよ。
罵詈雑言のオンパレード。
勉強になるな。
あっ、その言い回し来るね〜。覚えとこ。
口じゃいつも負けるからさ。
ken、俺も相当えげつないだろ。
ここまではいい。手抜かりなし。
並上女も馬鹿じゃなかった。
暴ったって俺のダメージより自分の保身だろ。
ファンの怖さは並上女が実施済みのハズ。
それに半日前のことだけど、仮にメンバーの耳に入ったとして、
最初はtetsu→ken 止まり。
髪・ニ・サ・ワ・ル・ナ・サ・ワ・ラ・セ・テ・ヤ・ラ・ナ・イ
「・・・髪」 そういや、並上女は髪だけは特上だった。
よく手入れされていた。
長さも質も色味も、どこで知ったか香りまでhydeそっくりだった。
俺はそこだけは感心したんだ。
そ〜いや纏わりつかれたとき、俺、髪触ってたかも・・・・
人間窮地から這い上がろうとするとき、記憶がフラッシュバックする。
古典的に 言えば、走馬灯のようにぐるぐるとってのは本当なんだなと思った。
hydeに怒鳴られてから事の現状理由を理解するまで、多分5秒掛かってない 。
「サクラはいつから百面相が得意になったん?」
半ば呆れたようなhydeの口調。
俺に馬乗りのぐっと来るアングルで怪訝顔だ。
5秒弱の間に俺はかなり表情豊かに独りごちていたらしい。
hydeからすれば、さぞ かし薄気味悪い状態だったに 違いない。
そして更に薄気味悪さは倍増。
今、俺の顔は最大限に弛緩してるのが自分でも分かる。
ヤバい、これはヤバいぞ!?
俺の危険信号をアンテナ傍受したhydeが、 猫のごとき俊敏さで俺から飛びのいた。
咄嗟に伸ばした手が、hydeの髪の一束を掴む。
「触るな!」
「触るよ」
今度は払いのけようと飛んできた手を捕らえる。
「俺に触るな!」
そんな見咎めるような目をしたって今の俺には逆効果だ。
持ち札が丸見えだよ、hyde。
捕らえた手を引き寄せながら言う。
「触る」
掴んだ髪に口付ける。
「触りたい」
そのまま、少し強張った頬に手を伸ばす。
「触らせて」
耳元で囁く。
「・・・・・触らせろよ、hyde」
「〜〜〜〜〜〜〜」
覚悟しろよ。
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