家に戻ったのは、初夏の日差しが斜めに窓をすり抜け、
殺風景な部屋をほのかに暖かく染め上げた頃だった。
オレンジと薄墨のコントラストは部屋が無人だと俺に 教えてくれた。
シーツに包まっていたhydeはもういないが、 それもいつものことだ。
ただ、部屋には情事の後がまだ色濃く残っていた。
「まったく参ったな」
ベッドに腰を落としながら思わず呟いた。
原因は自分にあるとはいえ、今回は不可抗力の範疇だと 思っていた俺は、
hydeの態度に少なからず理不尽さを 感じていたし腹も立てていた。
少しくらい仕返しをしてやってもいいだろう。
軽い悪戯心のつもりだったのに。
小柄な身体を力任せに押さえ込むと、 阿呆だとか変態だとかおっさんだとか
顔に似合わない台詞が飛んできた。
五月蝿い口だ。
俺が聞きたいのはそんな酷い音じゃないよ。
散々にhyde自身に刺激を与え、 内臓に自分を埋め込む。
肩口から首筋を舐め上げると、 肩が大きく跳ね上がった。
酷い音の替わりに、切羽詰った短い呼吸音しか 聞こえなくなる。
それでも今日のhydeは、イニシアチブを取り そこなったのが悔しいのか、
なかなか声を上げ ようとしない。
でもね、必死に耐えてる顔ってのもそそるんだよ。
小刻みに突いてやると、首に手を回ししがみつこう としてくる。
その手を取り、わざとシーツに押し付けた。
何かに掴まり身体に入る力を分散したいのに、
何も掴めない細い指が震える。
「欲しそうにしているやらしい顔だ、hyde」
最中の顔を見られるのを嫌がるhydeには耐えられない 言葉だろう?
「う・・・」 hydeがきゅっと締め付けてくる。
そのタイミングを謀って回りの粘膜が十分に 擦れるよう、
腰をグラインドさせながらゆっくりと hydeから出る。
「っ!」
身体をビクつかせ刺激をやり過ごそうとする暇も 与えず、
再びhydeの中に性急に入る。
hydeの感じる所を軽く突きながら、 最終的な刺激は与えずに・・・
「あ、あ、サクラ、もっと、もっと」
「もっと・・・何?」
「う・動いて・・・」
O・K、上等。よく言えました。
こんな台詞、素面のhydeなら絶対言わないだろうなぁ。
でも、まだ許さない。
「お前さ、何であんなに怒ってたんだよ」
答えは分かっているんだけど、
hydeの口から 聞きたいなどと酔狂なことを考える。
これだからhydeに親父呼ばわりされるんだ。
「は・・もだめ。お願いサクラ・・・・・動いて」
「言わなきゃ動かない」
「・・・・・・・・」
この期に及んでまだ強情を貫くか。
緩やかな注挿を繰り返し、気持ちのいい その場所に切っ先を擦り付けてやる。
「あ〜〜〜、もっと・・・・もっと強く・・してよ」
「言えよ」
「・・・・動いてよ・・サクラ!」
「言えってば」
「っ! あ・・じ・自分にだよ! サクラに執着する自分にだよ!」
・・・・・・ へ? なんか俺、今、すごいこと聞いちゃった?
予想外の台詞を聞いて、 一瞬、俺は自分の仕事(?)を完全に忘れ、
呆けてしまった。
「サクラ、だから、もっともっと触って、 俺を触ってよ。
お願い、触ってもっと・・・お願いお願いお願い・・」
うわ言のように繰り返すhydeが俺をぎゅうぎゅうと 締め付けてくる。
上気して色づいた頬。
淫乱に赤く艶がる唇。
見えているのかも分からないほど潤んだ目。
そんな顔して、そんな台詞。
「あり得なさすぎ、反則だろ〜〜」
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