大陸から日本に帰って以来、俺はあることに気が付いた。
kenちゃんとyukihiroが妙に仲がいい?
実際に、今も目の前で何かを見せ合いっこしながら「クスクス」笑いあっている。
何やろ? きっしょ〜。
この間っから、何か見て話し込んだり、笑ったりしてるんよな。
「見せえ!」ゆうたら、「あかん」とかゆうて絶対に見せてくれへんし。
アルバムみたいやしな〜。
なんやろな〜。 気になるがなっ!
ってゆうかな、楽しそうなことやのになんで俺が仲間外れやねん!
鬱陶しいてっちゃんならまだしもな。
だんだん腹立ってきた。
俺は、ず〜〜〜〜〜〜〜と二人を遠巻きに移動し、その背後に回りこむと、
額を寄せ合って「お〜〜〜」とか、「これこれいいよな」
などと盛り上がっているその代物を取り上げた!
「二人してずっと何見てんにゃ!」
「「あ〜〜〜〜!」」
「kenちゃんが絡んでんならど〜せろくでもないもんなんやろ? 没収」
「ろくでもないもんかどうか、hyde自身の目で確かめたらよかろ?」
kenちゃんがニヤニヤしながら言う。
yukihiroまでもが、下を向いて笑いを堪えている。(ゆっき〜のくせに)
「?」
二人の反応に煙に包まれたような気持ちでそのアルバムに目を落とすと、
そこには、ろくでもないどころかとんでもないものが収まっていた。
yukihiroから没収したものには、元の写真が何か分からないほどに加工されまくった、
「お花畑の俺」やら、「星空を見上げる俺」やら、「羽が生えてる俺」やら、
「吸血鬼の俺」やら、「土砂降りの中の俺」やら、「ゴルチェな俺」やら、・・・・・
「ナ・ナースな俺」やら、「冥土な俺」やら「猫耳な俺」やら・・・・
「ボンテージな俺」やら・・・・・・・
極めつけは、ポニーテールにしている俺が、
バナナアイスを美味そうに舐め上げているブツ。
ご丁寧に半眼だ・・・・・・・
「ゆ・ゆっき〜?」
「自信作ばっかりだよ、hyde君。 気に入ったのがあったらあげるからね」
k・kenちゃんのアルバムには一体何が・・・・・
そこに俺は、更に信じられないものを見た!
「・・・・・・・・寝顔のオンパレード」
しかも、何でこれで目が醒めないのかってくらい至近距離のものまであるっ!
確かに俺、よくkenちゃんの横で転寝してるけど・・・・・・
何でこんなにあるんや?
オイ! このベッドで寝てんの・・・・
どう考えても馬乗りやないと撮れへんアングルちゃうんか?
いつ? どうやって?
これな、あれやろ? 肖像権侵害ってやつちゃうんか・・・・
いや・・・・それ以前に、
・・フ・・・・・・フフ・・・・・・こんなもの許しておくわけにはいかへんな。
二人して俺をおかずにしてたやなんて・・・フフフ・・・許されへんわ。
こういうときは、あれや、てっちゃんやな・・・フフ・・・・
え〜〜ん、てっちゃん、俺悔しい!
二人が俺のこと慰みもんにしてたんやぁ〜〜。
目の前でこのアルバム、自らの手で完膚なきまでに焼き払ってもらわへんかったら、
俺、悔しすぎて、声も出えへんね〜〜〜〜ん。
よよよよよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
よっしゃ、これや!
「え〜〜〜〜ん! てっちゃ・・・」
「hyde〜! 最後までそれ見てみ。 最近、趣向変えたんや」
「?」
kenちゃんにそう則されて、俺が見たアルバムの最終ページには・・・・
「生ダコ見てビビッてる俺とか、嫌がって壁にへばりついてる俺やんか・・・」
「そっ! 『思いもかけず素のhyde』が、最近のヒットやねん!」
「・・・・ちょ、待て! 何でこんなんが撮れんねん?」
「いや〜〜、大変やったんやで。
実家の近くのプラモ屋におかんに行ってもうてな」
「まさか」
「丁度遠征中やった頃発売されたガンプラのな」
「嘘やろ?」
「何とかってゆう型の1/100の初回限定版っつ〜の手に入れんの」
「それゆうたらな、あっさり協力してくれたで。
それ撮ったんな、てっちゃん。
すっごいやろ〜〜? hyde、気ぃ付かへんかってんってな?
流石、高速弾きギタリストや〜〜〜」
「tetsu! お前もか!」
俺は全身の力が抜け落ち、その場にへたり込んだ。
すると、
「お〜〜、ゆっき〜、見てみ。 『hydeの素のOTL』や〜〜」
「あ〜〜、ken君、シャッターチャンース!」
二人が構えるデジカメに睨まれ、動くことができない俺。
ここで気を抜いたら、犯られる!
どうする? どうしたらいい?
震える手で携帯を取り出すと、
俺は手元も見ず、馴染みの番号を押した。
「あ・・サ、サクラ? ちょっとな、事務所来てくれ」
「・・・・・・嫌だね。どうせろくでもないことだろ」
「ろくでもないことどころかな、とんでもないことやねん!」
「それがろくでもないことだって言ってんだよ」
「サクラ! 『何でもする』(←ここだけ櫻澤の脳にインプット)から、はよう来い!」
「3分で行く」
3分? 3分って、お前どこで電話取ってんの?
などと思っている間に・・・・
「よっ!」
「「よっ!!」」
サクラは、本当に3分で来た。
「じゃ!」
「「じゃ!!」」
そして、俺はほとんど小脇に抱えられるような状態で事務所から拉致られた・・・・・
【後談】
「ギャーハッハッハー! 見たけ?ゆっき〜。 あのhydeのうろたえよう!」
「・・・・・・大成功だね」
「この瞬間をどれだけ待ち望んだことかってゆ〜やつ〜? 溜飲が下がるわ!」
「だけど、大概に情けないね、僕達も。 hyde君に一泡吹かせようってだけでさ、
どれだけの準備期間要したの? 櫻澤君まで引っ張り込んで」
「ゆっきー、hydeを甘くみたらあかんで。 アイツはな悪魔や。
hydeを陥れるんならな、これっくらいの準備期間短いくらいやで。
根回しかってな、慎重に慎重を経んとどんな調子で掘り返されるか分からへんねん!
hydeの思考と行動は、生ダコと同じように予測不可能やねんからなっ!」
こんなことに全力を注ぎ込めるkenが、ちょっと羨ましいyukihiroである。
「それに、今回の作戦は、結果的に誰も何の損もしてへんやろ?
俺って良心的やわ〜」
「hyde君は大損なんじゃないの?」
「お前! サクラのあの勢い見てへんかったんか?(ニヤニヤ)」
「・・・・・・・・エロエロ大魔王(ボソッ)」
「なんて?」
「なんにも。 ken君のこの写真、櫻澤君に返さなきゃね」
「な〜! アイツこんな写真撮ってんねんな!
驚きやったわ。これhyde絶対知らへんで。
ゆっきーのもついでにやったら、サクラに」
「・・・そこまで喜ばせる必要なないよ」
「・・・俺、ゆっきーのそういうとこ、好きやで」
小脇に抱えられたまま、「何かがおかしい。どこか辻褄が合わない」と、
悪魔的勘で綻びを手繰り寄せることに集中しているhyde。
思わぬ伏兵が自分の間近にいたことにはいまだ気付かない。