ツアーの合間の貴重なオフ。
「ちょっと呑まないか?」
という俺の気まぐれなオファーに、
家族よりも、あの黒づくめの男よりも優先して、
無理して時間を割いてくれた優しいHYDE。
なのに、
「優しさというものを誤解してないか?」
気持ちよく酔っ払った挙句、無理矢理四肢を押さえ込まれて、
抗議の声を上げる間もなく、問い詰められるような口調で、
どうして俺がそんなことを言われなくちゃならないんだ?
とでも、君は思っているだろう。
「何勝手に盛り上がってんだ。
優しさがどうのと俺に問うなら、
アンタはそれがどういうものか分かってるのか?」
そうして、聡い彼は質問に質問で応えて、
相手の心情を推し量ろうとする。
「優しさね? さぁね。 でも、HYDEは優しいだろ?
その優しさは分かってるつもりだけどね」
「自分に都合のいいことをしゃあしゃあとぬかすな。
どけったら。
こんなことを許す程、俺の優しさは成熟してないんだ」
「駄目?」
「そんなお伺いを立てんなら、
まずは俺の胸をまさぐってるその手を引っ込めたら?
そうしたら、それを許してやるくらいの優しさを持ち合わせてやる」
「どうしても? 触れたら返してくれるこの反応は、
HYDEの優しさなんじゃないの?」
「誤解してんのはアンタのほうじゃないの?
誰かに優しくしてもらいたいなら俺に甘えるのは丸っきり当て外れだ」
「ここはどう? これは? 嫌?」
「嫌だ。
人の話聞いてんのかよ?
いい加減離れろ。
足が痛い。 胸も痛い。 身体中痛い。
せっかく気持ちよく酔ってたのに、頭くるぜ」
「嘘だ。 本当はもう半分許してる。
こっちの事情を飲み込もうとしてる。
許せないのは、自分の中の存在に対してへの良心の呵責だけだ」
「・・・・・・・・・あのさ、
何、子どもの我儘みたいなこと言ってんの?」
「我儘? 我儘かなこれは?
じゃ、こう言ったらどうかな?」
「今、とっても寂しいんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「駄目?」
吊りあがっていた眉がほんの少し下がって、
胸を押し返していた両腕の力が微量に弱まる。
そんなわずかな変化を見逃さない自分を、
心の中で嬉々としながら確認する。
「どうしても?」
「ふっ」と、小さく溜息をつく彼。
いつもそうだ。請われれば真っ向からは拒めない。
HYDEは優しいから。
でも、受け入れられてるわけではない。
それは錯覚だ。
「バッカじゃね〜の?
俺をどうにかして紛らわすことができる寂しさなんて、
全っ然理解できないな」
ほらね。
だけどそう言いながら、優しい彼は抵抗の力を解いていく。
「優しいね」
「それが誤解」
「HYDE」
すっと逸らされた視線、そのまま目蓋を下ろす。
表情は変わらないけど、
唇の奥を噛み締めてるのが分かるよ。
彼の白い首筋に唇を落とそうとしてやめた。
代りにその耳もとに囁く。
「優しさというものを誤解してないか?」