って、自分からお願いしてきたくせに、
なんで待ち合わせに30分経っても現れへんのや!!!
アイツほんまに最悪なやっちゃやな。
こんなんじゃ女の子とも長続きするはずないわ。
くっそ〜、なんであんな奴のためにつきおうたらなあかんねやぁ。
と思いながらも目一杯めかし込んできたのは、
(もちろんサングラス、帽子は必至)
指定された待ち合わせ場所が原宿だからなのと、
センスを見込まれての頼み事なわけだから、
いくら相手がサクラであってももっさい格好をしていくわけには
いかないだろうと思っただけで・・・・・
別にサクラの彼女を意識したわけではない。
しかし、彼が待ち合わせに言ってきた場所は、
原宿では誰もが知っている大きなクリスマスツリーのある場所で、
目立って分かりやすいここを待ち合わせに選んだ彼は、
意外にもこういうところはスマートなんだとhydeを感心させた。
それに、ほんの少し前からツリーの前で黒人女性3人を含む
聖歌隊がゴスペルソングを歌い出し、
30分以上待たされているイライラが少しは解消され、
否が応でもクリスマス気分が盛り上がってきたなんていう
相乗効果まで彼が計算していたとしたら、
「やっぱりタラシやな」
聖歌隊の『きよしこの夜』の澄んだ歌声に身体を揺らしながら
hydeは確信した。
目の前のツリーは15メートルほどの高さで見応えがあった。
白と金だけのオーナメントがグリーンに綺麗に映えて、
シンプルだけどシックで洗練されていた。
夜になって照明が点いたら、きっと今以上にクリスマスの気分を
盛り上げてくれるだろう。
サクラの買い物につき合ったら、クリスマスの照明に照らし出された
原宿を、ちょっとそぞろ歩いてみよう(独りで)
美味しいと評判なお店のケーキでも買って帰ろう。
・・・・・買うときは二つ買おう。
・・・・・見栄張りやなぁ、俺。
聖歌隊の歌をBGMに、ツリーを見上げながらその周りを一周すると、
始点に到達する前にそこにサクラがいるのに気が付いた。
人を散々待たせ、少しは申し訳なさそうな顔でもしてるかと思ったら、
浮き足立っている彼は友人を30分も待たせたことに
悪びれる素振りをみせることもなく、満面の笑みで立っていた。
やっぱり全身黒かった。
いつもと変わらないサクラだった。
「これはまた、えらくめかし込んで来たな」
「その前に何かゆーことあるやろ?」
「・・・・相変わらず、今日も綺麗で可愛いな?」
「俺を誰や思おとんのや」
「電車に乗れば痴漢され、街を歩けばナンパされる
果たして変装が成功してるかどうか怪しいhyde」
「もうええ」
実はここに来るまでに3人に声を掛けられた。
今日の変装もバッチリと思っていた自分が悔しい。
サクラは愛服している煙草に火を点けると、
丁寧にというよりわざとらしく首を下から上に移し、
最後にhydeに顔を近づけるとにんまり笑いながら言った。
「返って目立ってんですけど」
一曲歌え終わった聖歌隊の人達までが
こちらを見てヒソヒソ何かを言ってるような気がしてくる。
「じゃ、とっとと選んで帰ろう」
「ん? あ? あぁ、そうね。 そろそろね」
サクラは煙草を吸いながら腕時計で時間を確認すると、
まるで他人事のような物言いで呟いた。
こいつ、彼女との待ち合わせ時間大丈夫なんやろか?
こんな日に時間に遅れるなんて最低やねんぞ。
どうせこんな事にもなろうかと、
暇に任せて待ち合わせまでに事前に何件かショップを
見ておいて良かった。
なるだけサクラの嗜好に合わせて、予算も適当に見繕い、
シンプルで機能的でモノトーンのものや、
意外性狙って女の子が喜びそうなものを見つけてある。
彼が自分のプロデュースにどんな反応見せるのか、
想像しながらのウィンドウショッピングは結構楽しかった。