「『ヴォーカルらしく』って、そうゆーたん、サクラ?」
珍しくhydeから、
「もう、今日くらいしか時間取れへんかも」という、
半ば強制的な誘いに赴いたホテルの一室。
hydeは近々始まるツアーや新曲の準備やらで文字通り超多忙を極め、
サクラはサクラで、ここ最近はツアーににほとんどの時間を費やし、
尚且つ、某大物女性ヴォーカルのヘルプや、今後の「Lion Heads」の
活動についてこれからが正念場として計画している諸々の事を考えると、
こうして今日、無理やりにでも会っておかなければ
この先いつ会えるとも知れない。
そんな貴重な時間を、会った矢先にhydeから、
「LIVEはどうだったのか?」と尋ねられ、
何もこんな日に話しをさせなくてもよかろうに思いながらも、
お互いの労を美酒でねぎらいながら話して聞かせたサクラであった。
が、目黒での華山とのそんなやり取りを面白そうに聞いていたhydeが、
そこに至って「ヴォーカルらしく煽れと華山に言ったのか?」と聞いたのである。
「あ? あぁ」
「・・・・で、彼の反応は?」
「ノーリアクション」
「で、その後は?」
「相変わらずすんげーハイテンションだったけど?
だけど、今回「Lion Heads」として一番成長したのはアイツだな、華山」
「・・・・・そう」
そう言うhydeの自分を見る眼差しが、
なんとも哀れな者を見るようなソレにサクラには感じられた。
「何だよ!」
「いいや、何にも」と言いながら、自分のソファにグラスを持ちながら
移動し始めたhydeの顔は心なしか嬉しそうに見えた。
「はい、乾杯。 長い間お疲れさん、サクラ」
満面の笑みである。
「ほんとに何だよ! 気持ち悪ぃな」
「いーや。 サクラもギター頑張ってたもんな」
この眼差しには覚えがある。
「後輩の面倒からプロデュース。 Lion Headsやって作詞・作曲に
おまけに自分の十八番ひかえてのギターってのは
ストレス溜まったやろぅ〜? ほ〜んま頑張ったよなぁ〜」
何だよこの妙に優しい口調はよ?
「ストレスもまぁ感じたけど、
それよりも楽しかったほうが大きかったからなぁ。
子供じゃあるまいし、確かに頑張ったけどさ、
お前にそんな風に言われるようなもんじゃねーよ!」