クレイマー・クレイマー


hydeは最大の困難に立ち会っていた。
今までも何度も困難というものには直面したが、
まぁ、なんとかくぐり抜けてきた。
しかし、今回はというか、今の状況は違う。
もう、どうにもしようがないというか・・・・・
それよりも、どうしたらいいのか術が分からないというか・・・・・
平常心を失いそうな大ピンチというか・・・・・
 
それは、地球がひっくり返る以上のピンチだ。
 
そして今、目の前には自分の息子がひっくり返っている。
しかも、ギャーギャーだ・・・・・あぁ。
 
お気に入りのDVDは1時間もたなかった。
オムツも(恐々)覗いたけどOKだった。
高い高いも効かない。
飲み物も食べ物も突っぱねる。
 
訳分からへん!
何怒っとんねん!
わぁ〜、顔が真っ赤や、
我が子ながら、ぶっさいくやな〜泣き顔。
赤鬼。
kenちゃんの仮装思い出すわ。
どうしよう、こんなのにまだあと5時間はつき合わなあかんのかいな。
 
「母親から一個人」を取り戻しつつある、ある人の打ち合わせの為、
いつもは頼るベビーシッターの予定が丁度埋まっていたので、
良い機会、たまには一人で何から何まで見てみたら?と、
本日初めて目出度く息子と1対1で家に残されたhydeである。
hydeとしては相手は自分の息子。
要するに、「何とかなるやろ」の見切り発車であった。
息子はたまったものではない。
 
そして、世の父親の大半がそうであるように、
例に漏れずhydeも子供の接し方には怪しいほうだ。
おまけに、やれツアーだ、やれ収録だ、やれラニバだと、
ここのところ子供とゆっくり接する機会も時間もなかった。
子供は正直で、その上残酷な生き物だ。
もしかして自分のことを『パパ』として認識するよりも、
時々家にいる『おじちゃん』と思っているかもしれない。
 
『おじちゃん』と1時間以上も二人っきりなんて考えられない!
 
そんなふうに思われているのかもしれない・・・・・。
焦る! これは今こそ、自分は『パパ』なのだという
確固たる情報の植付けをしなくては!
そのためにも、今の困却な状態を見事に打開し、
『おじちゃん』から『頼りになるパパ』への上書き保存をしなくては、
家庭での自分の存在価値を見失いそうだ!
 
そう気を取り直して、一応聞いておいた『子供に対するHow to』をもう一度実行する。
オムツ→食いもん→飲みもん→DVD→お気に入りのおもちゃ→高い高いetc・・・・
 
だめだ! 効かない!
 
当たり前である。対子供用のマニュアルなど、あってなきが如くだ。
 
こんなに泣いてよく体力が持つな。 
もしかして、どこか痛かったりしてるんやろか?
どうしよう・・そうやったらどうしよう・・そうでなくても
このままこの勢いで泣き続けて引きつけでも起こしたらどうしよう・・・
 
3歳の子供の泣くことにおける体力と気力は並大抵ではない。
おまけに相手は、こうすることが効果をもたらす相手かどうかくらいお見通しである。
馬鹿にしてはいけない。
別に馬鹿にしているわけではないだろうが、
其れを知らない者にしてみたら、これはとんでない脅威だ。

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