ベッドにうつ伏せで横たわる薄い身体。
白いシャツは淡くピンクの照明が落とされているリネンと
同じ色に染まっている。
反対にゆるくひとつに結わえられた長い髪は、妙に濃く
その色を浮き上がらせていた。
メンバーと呑んだ後、いつになく悪酔いしたhydeを送るつもり
で皆と別れたのはいいが、
hydeはすぐにサクラの介助なしでは数歩も歩けなくなった。
歩けずに大人しく身を預けてくれるだけだったらよかったのだが、
「サクラ〜、俺のこと好き〜?」
「俺の身体って気持ちい〜?」
「聞いてー、俺達デキてんのよー」等々、
酔っぱらいの戯れ言とはいえ、
こんなことを大声でいう男ともつれ合いながら夜の新宿を歩くのは、
いくら厚顔なサクラでも勘弁して欲しいと思った。
結局、hydeの酔いが少し覚めるまでと
適当に『休憩所』としてホテルに連れ込んだ。
hydeとは身体の関係がある。
そうそう何度ともという訳ではない。
しかし、この日はそういうつもりでソコに入ったのではなかった。
というのも、彼と関係を結ぶのは、今までどちらかの家でであったし、
堂々とその手のホテルに入ってシケこむなんてことは、
その時の二人には考えもしなかったことだからだ。
おまけに、そんなに綺麗とも言い難い、
誰が寝たのかも分からないようなベッドでSEXするなど、
いいとこボンのサクラにはあまり好ましくない環境なのである。
5本目の煙草に火を点けようとしたところで、
ベッドの主が「う゛〜〜〜〜〜」と、唸った。
「ざぐだ〜〜〜〜、みじゅ〜〜〜〜〜」
サクラは、どーせコイツに払わせるんだからと簡易冷蔵庫から
ペットボトルの水を取り出す。
hydeに手渡すと彼はのそりと起きあがり、ゴクゴクと喉を鳴らして
500mlを飲み干した。
「ココどこ?」
「落ち着いたのかよ? 歩けそうか?」
「ココどこ?」
「・・・・・ホテル」
hydeがじっとサクラを見る。
あ、コイツ俺のこと疑ってるね。
自分のこと棚に上げて疑ってるね。
ココでそんなことをするつもりなどないサクラには、それこそいつもの
自分のことを棚に上げ、そんな風にhydeに思われることが少し悔しい。
「気分良くなったんなら出るから」
ぶっきらぼうに言うと、点けたばかりの煙草をもみ消した。
しかし、hydeはサクラの意に反していそいそとシャツを脱ぎだした。
「何脱いでんですか?」
「ココホテルやから」
「いや、俺、そんな気ないから」
「えー、やってな、折角金払うのにもったいないやん?」
あ、関西人ってそーゆー発想なんだ。
「それにホテルでサクラとシたことないし」
どちらかというと、いつもサクラのペースに流されて寝ていたhydeだったが、
珍しく彼からそんな台詞を言い、誘ってくるとは・・・・・・
やっぱ、酔ってんだよね?
ベッドの上で正座して、もそもそ服を脱いでいる酔っ払いを制止しようと、
ベッド脇に近づき顔を覗き込んだところで、サクラはhydeにベッド引きずり込まれた。
「捕っまえた〜♪」(にへぇ〜)
やっぱり酔ってる。
「離せよ。 もう帰るの」
「なしてー?」
「お前、酔ってるから。
途中で吐かれでもしたら後がめんどーだから嫌なの」
「えー、冷たいなー、サクラ」
「はいはい、脱がさないのね。 こら! あ、やめろって!」
ピッ!
「「ピッ?」」
電子音がしたほうへ目を向けると、ベッドから突き出たサクラの足が
ベッドのサイドボードに並んでいるボタンのひとつを押していた。