俺達はしばらく上半身だけ出して並んで座って煙草を吸った。
二人とも満身創痍だ。
お互いに話しかけるのが怖かった。
お互いの顔を見合うこともできなかった。
服を着ようにも、服はベッドから遠く離れたところで丸まっている。
相手の前で、そこまで素っ裸で取りに行く勇気もなかった。
乾いた喉に煙草がヒリつく。
しかし、いつまでもこのままでいても仕方がない。
1箱無くなって、シャワーでも浴びようと思ったところで
hydeが言った。
「俺、サクラでよかったかも」
「はあ?」
「俺、見てくれこうだし、まぁそーゆーお誘いもそれなりにあるのね」
「へー」
やっぱそうなんだ。でも、こいつはストレートだろ。
いや、俺もだけど。
なのにこんなことだから・・・・そりゃぁ、hydeならあるだろうなぁ。
「この世界、コッチ系多いから。
いつかはこういうのもあるかなぁって思ってはいたんやけどね」
「ふーん」
「知っとくのも悪くないかなぁって程度でね。
だから、初めてがサクラでよかったかなぁって」
乾いた顔で煙を吐くhydeの横顔。
髭の生えた男前の女みたいだ。
饒舌なhydeに、俺はこれが彼独特の気遣いだと気が付く。
「でさ、実際のとこサクラどーだったの? 俺、よかった?」
へへっと困った顔で笑い「まぁ、これで怖いもんなくなったしね」
なんて言われて、
なんだか無性にhydeが愛しく思えてきた。
「hydeは」
「んー」
「すんげぇ、可愛かった」
ゲホッ! ゴ・ゴホッゴホッ・・・・・ッゲホッ!!
「へ・変なことゆーな! ボケッ」
「どーだったか?ってお前が聞いたんじゃないか」
「お前、覚えてないって」
「うん、今一生懸命思い出そうとしてる」
「おおおお思い出さなくてええっ!」
そうだ、本当に思い出さなくたってよかった。
酔っていたって相手がhydeだってことくらい判る。
酒の勢いにしてしまおうなんて気がなかったなんて言えない。
興味本位でかもしれないが、
どこかでhydeとこういうことをしたかったんだと確信したこと、
・・・・・・・認めざるを得ないよなぁ。
「何回もチューしたよな?」
「知らんわ! 覚えてへんもん。 ・・・・・やめろ」
「お前SEXするとき噛み癖あんのね?」
「すんません」
「いや、返ってそれで興奮したのかも、俺」
「変態」
「hydeさん、酒呑むと案外可愛くなるけどさ」
「きしょいことゆーなや」
「SEXん時はもっと可愛くなんのねーーー!!!」
「やめんかいっ! 阿呆っ!!!!」
・・・・・・・鳥肌立ててる。
「たぶん俺は気持ち良かったんだと思う。うんうん」
「はぁ、たぶん・・・ね。俺はヤラれ損?」
「いや、お前もきっと良かったんだと思うよ」
「なんで?」
「随分よがってたからーーーー」
「嘘ゆーなーーーー!!!」
「あぁもうだめぇとか」(捏造です)
「気持ちいぃんとか」( 〃 )
「あぁーん死んじゃうーとか」( 〃 )
「イクイクイクーとか」( 〃 )
「コノヤローーー! 嘘ばっかゆーな!
俺、そんなことゆー余裕なんかなかったっちゅーねんっ!」
「お前・・・・覚えてなかったんじゃねーの?」
「・・・・ぁ」
顔が真っ赤っ赤だ、hyde。
目を閉じたまま凄い勢いで最後の1本を吸っている。
昨日シテる間、ずっと固く目を閉じて、
真っ赤な顔して俺の身体に必死にしがみついていた顔が
一瞬フラッシュバックした。
あ〜、そういえばその後肩に噛みつかれたんだ。
そして、俺はhydeがついたもう一つの嘘に気が付く。
それから自分の思い上がりでないのなら、
hydeは案外じゃなく、本当に可愛い奴なんじゃないんだろうか。
「俺、なんかちゃんと覚えてねーのすっげー勿体なくなったきた」
「お願い、全て忘れて」
「お前もさ、もしかして今後、これがトラウマになんてなったら嫌だろ?」
「ならへんから安心してよ」
「いや、こんな中途半端なhydeとのSEXじゃ、俺が踏ん切りつかないから」
「俺の・・・とかってゆうなっ!!!」
「何、泣きそうになってんの?」
「は・恥ずかしすぎんのお前」
嘘つきなhydeに少しつき合おう。
「自分がイッたか分からないままのSEXなんて心残りだ」
「・・・・・・・・・・・・」
「ましてや相手もそうだったなんて櫻澤泰徳、男一代の大恥だ」
「あほちゃうか」
「メンバー同士でこういう関係ってさぁ、
なんかあちらのロックスターって感じじゃねーか?」
「てっちゃんは大っ嫌いやからな、こーゆーの」
「ふん。非常に刺激的だ」
「アホの極地や」
「俺は一度足を突っ込んだことは極めたい質なんだ」
「いつか身ぃ滅ぼすで」
真っ赤な顔を覆っているhydeの手を取る。
「ま、なんとかなるっしょ」
「ほんま最低ー、お前」
真っ赤なhydeはまだ顔を上げれず、目は閉じたままだった。
その後、あまりにしおらしい様子のhydeがすっかり気に入った俺は、
「んじゃ、朝立ちもしてることだし、昨日の案配を確かめるっつうことで」
とそのまま押し倒そうとして、
みぞおちに見事な少林寺拳法の突きを喰らい、
ベッドから蹴落とされた。
成りはこんなんでも男は男。
この道(hyde)を極めるのは結構厳しそうだ。