ぼくの夏休み  灰×灰シリーズ 


翌朝。
 
真夜中の川遊びを楽しんだ双子は、他の者たちが朝食を整える声で目覚めた。
誰がいつテントを覗きにやってくるか分からない環境に、
さすがに秀も、朝のぼーっとして無防備で食べていいよ状態な秀人に
何かをしようという気は起きなかった。
しかし、低体温の秀人は相変わらず朝は全く使い物にならない。
秀人の手を引く秀と、秀に手を引かれながら寝ぼけ眼でノロノロとやってくる秀人に、
級友たちは再び変な盛り上がりを見せた。
 
秀人を椅子に座らせた秀は、テーブルの周りやその下に
いくつもの蚊取り線香が焚かれているのに気がついた。
 
「おはよう、秀」
級友の一人が秀に声を掛ける。
 
「あぁ」
秀人はいつものように生返事で答える。続けて、
 
「けむたぃ」
と、小さく言う。
別の一人が口を開く。
 
「昨日、秀がテントにいる間に堀先輩に運転してもらってさ、
買ってきたんだ」
「これだけあければ大丈夫だよね?」
「・・・・・・・・・」
 
秀は煙に顔をしかめ、大袈裟に手で煙を払いながら、
ケトルで湯を沸かしている別の級友のほうへと向かう。
 
「コーヒーなら俺の方が秀人より美味く煎れれる」
 
それを聞くや、級友たちはそれぞれ落ち着く場所へと移っていった。
 
「美味しいホットサンドも作ってね」
簡易テーブルに頬杖をつきながら気だるそうに秀人が言った。

→