初めてのお泊まり
さて、その夜。
『くすん・・・・くすん・・・・ひっく』
くすんくすんひっく・・・・くすんくすんひっく
くすんくすんひっく・・・・くすんくすんひっく
サクラおじちゃんは変な夢を見ていた。
いくつものおいしそうな桃まんじゅうがピンク色の レールに乗って、泣きながら行進し
ていく夢だ。
『くすん・・・・・うぇっく・・・ひっく』
『!!!! hyde!?』
そうだ! 俺はチビhydeと一緒にホテルに泊まって いたんだった!
ガバッとベッドから起きあがり、隣りのベッドのチビhydeを見ると、 hydeは小さい体をますま
す小さくし、ベッドの上で 丸まって泣いていた。
『どうしたんだ? どっか痛いのか? 恐い夢でも見たか?』
『サクラのばかー。 hyde何回も呼んでたのに』
丸まったまま泣いているチビhydeを抱き上げる。
『えー? そんなに呼んでたんだ。 ごめんねhyde』
『うん、いいよ。 あのねー、さくら』
『なに?』
『hyde、おしっこ漏れそう』
トイレはベッドからすぐそこなのに、初めてのホテルで全く 事情の分からない部屋に
泊まっているチビhydeにとっては、 部屋のいたるところにいろんなものが潜んでいる
感じがするらしい。
トイレに行きたいのに恐くて行かれない。
サクラおじちゃんはいくら呼んでも起きてくれない。
いつもいるパパもママもココにはいない。
さくら、さくら、ねぇ起きて。
hyde恐いよー。
おしっこ行きたいよー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
えーん、さみしいよー。
ということだったらしい。
しゃっくりあげる度におしっこが止まるチビhydeの後ろ姿。
恐いからそこにいてと言われて、その通りにしているダメなサクラ おじちゃんである。
しかし、hydeに全面的に頼られているのが心地よく、「いつ までも赤ちゃんだなぁ、
hydeは」なんて呆れ顔をしながらも、 内心飛び上がるほど嬉しい。
用を足し手を洗ったhydeは、サクラおじちゃんの思惑通り、 ベッドまでがやっぱり恐い
から抱っこして連れていってと なんとも可愛らしいちっさなお手手を目一杯伸ばしてお
ね だりをしてくれた。
可愛い・可愛い・ちょー可愛い・ゲロ可愛い・とんでもなく可愛い ・犯罪的に可愛い。
サクラおじちゃんは、トイレからベッドまでの短い距離を、 チビhydeをぎゅうぎゅう抱きし
めながら移動した。
『ほら、ベッドについたからね。 もう恐くないね、おやすみ』
チビhydeをベッドにおろして、その小さな身体から離れると。
『あ・・・』
「あ」と、吐息のような声も漏らしたhydeの顔をサクラおじちゃんは「ん?」 と見つめた。
すると、チビhydeの大きな瞳からみるみる涙があふれ出してきた。
『ど・どうしたんだ、hyde?』
『さくらのばかー』
チビhydeは勢いよくベッドに突っ伏すと、しくしく泣き出した。

『さくら、hydeと一緒に寝てくれないの?』
『え?』
『hyde、さびしいのに』
『えー?』
『お願い、さくら。 こっちに来て』
泣いて突っ伏していた身体をチビhydeがベッドから半身起こすと、 大きなバスローブが
するりと下がり、hydeの滑らかな肩が露わになった。
悪夢だ。
いけないサクラおじちゃんはそう思った。