初めてのお泊まり
『わ・わかった、わかった。 一緒に寝るだけだからね』
当たり前だよサクラおじちゃん。
サクラおじちゃんはまた、チビhydeのはだけたバスローブをきっちりと、今度は
崩れないように丁寧に直した。
溜息が漏れた。
こんなにどぎまぎするならとっととパジャマに着替えさせればいいのに、そこは
パジャマ姿のhydeよりバスローブ姿のhydeのほうが新鮮で嬉しかったりするア
イタタなサクラおじちゃんだ。
ゆっくりチビhydeのベッドに入ると、確かに二人で寝てもhydeがちっこいだけに
苦にならない大きさであることに気がついた。
これじゃ、チビhydeが寂しがるのも無理はない。
『おっきなベッドにひとりで寂しかったな。 ごめんな、hyde』
『さくら、大好きー』
サクラおじちゃんのお腹にぴったり張り付いたチビhydeのつむじと、伏し目に掛
かる長い睫毛が自分の目から随分下にあることに、サクラおじちゃんはまたまた
切ない気持ちになった。
『さくら、抱っこして寝て』
『えー、重いからやだなぁ』
『いじわるー。 パパみたいにして』
「パパみたいに」というチビhydeの言葉、サクラおじちゃんの切ない気持ちに拍車が
掛かる。
『パパ・・・みたいにねぇ』
ベッドのバックボードにもたれ掛かっているサクラおじちゃんの身体の上にチビhyde
は這い上がると、しっかりサクラおじちゃんにしがみついた。
バスローブから覗くうなじが色っぽい。
再び溜息をつき、天井を仰ぎながらチビhydeの身体を抱く。
『でも、さくらのほうが手がおっきい』
『そう?』
『さくらのほうがあったかーい』
『hydeもあったかいよ』
ふわふわの蒸かし桃まんじゅう。
『さくらの腕、太いね』
『hydeは細いね』
『hydeもおっきくなったらさくらみたいになれるかな?』
細くて小さくて腕一本で充分抱きかかえることができるチビhyde。
あー、もう大きくならないでほしいなぁ。
いつまでも腕の中にいてほしいなぁ。
それでこうやって抱っこさせてくれたらいいなぁ。
『ならなくていいよ』
思わず本音を口走ってしまい、抱いているhydeの様子を伺う。
チビhydeはサクラおじちゃんの胸に身体を預けて、くーくーと寝息をたてていた。
『あーぁ、寝ちゃったね』
本当に子供だ。
チビhydeはまぎれもなく、正真正銘の子供なのだ。
まぁるい桃色の頬。
外国の子供のような長い睫毛。
やっぱり半開きの唇。
少し涎が垂れそうだぞ(笑)
眠気と自分に抱かれていることで体温の上がったチビhydeの頬はほんわりとピン
ク色に上気していた。
腕の中でしなだれているhydeの唇は、大人にない清潔な色っぽさで艶やかだった。
本当に可愛くて愛しくて小さな唇に口づけた。

ただ愛しいという感情だけでそれ以上の欲望も持たず誰かとキスをしたのは、サク
ラおじちゃんにとって後にも先にもこの1回だけだ。
『う・・ん、パパ?』
『あー、ごめんね。 起こしちゃった?』
『さくら・・・パパみたい』
アイツもチビhydeにちゅーしてんだな。
眠気でとろとろに溶けそうなチビhydeの顔を見ながら思う。
『もう一回、パパみたいにしてー。 hyde、キス大好きー』
体温の上がった熱っぽい手がサクラおじちゃんの頬に触れる。
本当に悪夢だ。
だめだ。
こりゃヤバい。
『・・・・・hyde』
『なぁに?』
『パパみたいのじゃなきゃだめかな?』
『・・・・・・?』
ずっと目も開かずにいたチビhydeは、しばらくするとうっすら目を開け、サクラおじ
ちゃんをじっと見つめ返してきた。
『さくらのキスしてくれるの?』
きっとそれがどういう意味なのかも分からずにチビhydeは言ったんだろう。
サクラおじちゃんは切なさを通り越して、泣きたくなってきた。
『うん。 だめかな?』
『して。 さくらのキス、して』
とろんとした表情でそういうチビhyde。
あぁ、もう本当に眠そうだね。
ちっさいhyde。 子供のhyde。 綺麗なhyde。
『hyde、ちゃんと覚えておいてね』
『さくら、大好きー』

このキスには少しそういう意味も含まれているなと、サクラおじちゃんは思いながら、
とろりと眠りの淵に入り始めたチビhydeに口づけた。