SEVENTH HEAVEN 


「冗談だ馬鹿者。 シシリージョークだ」


いや、それもいーかも。


ワイングラスを持ったまま櫻澤の横に立ち、自分のことを冷たい視線で見下ろしていたHYDEを見上げながらふとそんな考えが浮かんだ。


だって折角ココまで来たのにこのままなんの収穫もなく帰国ってのもなぁ。
せめて「ちゅー」くらいしたって罰当たんねーだろ?
幸か不幸か・・・・・めちゃくちゃ俺の好みなんだよー。
もうちょっと育ってくれたら・・・って男なんだよー。
あーーー、ちっくしょーーー。


サイドテーブルのワインクーラーにワインを飲みほしたHYDEが手を伸ばす仕草が、まるで流れるようになめらかだと思った。


「シシリージョークなんて日本人には通じません。
それより美人さんからのお誘いはたとえ冗談でも、受けて立つのが日本男児なんです」
「は?」


そう言いながら櫻澤がHYDEの腕を取り上げると、彼は先ほどの仕草の一連の流れのように見事にかわした。その動きに櫻澤はある一定の法則を見た。


へー、少林寺拳法ね。
なーる程、さすがシシリアンマフィアのドンだ。
東洋武術も心得てるってわけで、見た目に誤魔化されたら痛い目みるってことだ。


だけど、俺も一応少林寺は心得があんだよね。
それに俺が最も得意なのは日本武道の代表格、柔道。
んで、その中でも得意中の得意なのが・・・


「よっ!」

寝技vv


「うわっ!」


アッという間にHYDEを組み敷いた櫻澤は、HYDEの両腕を高そうなペルシャ絨毯に押さえつけた。


「ここまで単身で乗り込んだ報酬に、アンタにキスしていいかな?」


次には、HYDEの耳元でそう囁き、彼が何か言おうとしたその口を強引に塞いでしまった。



目の前にはどんぐり眼が、自分の状況を飲み込めずにキョロキョロしてる。

当然だ。

マフィアのドンとしてこんな扱いを受けたのは今までになかったのだろう。その前に、肉体と同時に性格も男性的であることを望まれ、不倫はおろか、マフィアの道徳規準を汚すことになる性的な倒錯や逸脱の一切が厳禁であるマフィアの世界において、男に組み敷かれ口づけされるなど想像したことさえなかったはずだ。


マフィアの組員は、「名誉ある男」として社会から敬意を払われる存在でなければならない(マフィアの一方的な基準であるが)というのが、昔からの伝統的なシチリアンマフィアなのである。


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