SEVENTH HEAVEN 


ま、こんなもんだろ。


柔らかいHYDEの唇を思う存分堪能し、唇を離しても、だが尚呆然としているHYDEが意外にも可愛く感じた。

「ごちそーさん」

少しからかうつもりで櫻澤がそう言った途端、誰が見ても明らかなほどにHYDEは真っ赤に顔を染めた。



うわっ! 何じゃ、このウブな反応。
嘘だろー! たまらんっ!



HYDEの細い身体から波打つ鼓動が櫻澤の身体に心地よく響いてくる。

怒りで釣り上った双眉の下の潤んで零れそうな瞳が、吸い込まれそうなほど澄んで見える。
圧し掛かられた苦しさで浅く呼吸が乱れた半開きの紅い唇は、櫻澤の感情が淫らに陥りそうになることを誘ってでもいるようだ。


自分が長年追いかけてきた獲物が、しかも極上のそれが、ようやく両手に捉えられ、今腕の中にいる。


「アンタ、俺がここに来た本当の目的知りたいって言ったよな?」
「・・・・・・あぁ」

「アンタに会いにだよ。 俺てっきりアンタのこと女だと思い込んでた。
 でも、もう男でも女でもどっちでもいいや。
 俺、アンタに惚れた。 今気がついた。 いや、もうずっと前から多分そうだったんだ」

「ホレタ? ホレタってどういう意味だ?」


あらー、肝心なとこ通じないのね? 
んじゃ、態度で示そう!


櫻澤が再びHYDEに唇を寄せようとしたとき、それまで真っ赤な顔をして、まるでファーストキスでも奪われたような反応をしていた彼の表情が、見る間に鬼のような形相に変化した。

「ken!!!」

HYDEの鋭い叫びと同時に、櫻澤は後頭部に冷たい鋼のような感触を感じた。


「ひでー、騙したな。 
 アンタそれでもシチリアンマフィアのドンかよ?」
「黙れ、馬鹿者。 さっきまで俺は本当に丸腰だったんだ」

「ボディーガード待機させてたんなら同じことだろーがよっ!」
「五月蠅い! この恥知らず! お前は日本人の恥だ!
 さっさと俺の上からどかないかっ!」

「いや、まさか伝説にもなってるようなシシリアンマフィア
『SEVENTH HEAVEN』のボスが、誰ともキスしたこともないウブな男だなんて誰も思わな・・・・」



「ken!!  ○▲×□☆☆●□×××ーーーーーーー!!!」



HYDEの表情からして、彼が櫻澤にとって何かとんでもない指令をkenに下したのだということは想像つく。
改めて聞くのは怖いが、聞かずにはいられない。


「・・・・・・アンタのボス、今何て言ったの?」
「コイツのチンポコ、ナイフでえぐって番犬の餌にしてこい」


可愛い顔していてもマフィアのドンはドンだ。


「わーーー、冗談! 冗談! ジャパニーズジョークです!」
「五月蠅い! シシリアンにそんなジョークは通じないっ!
 手を離せっ! 早くどけっ!
  ken! コイツ早くなんとかしろっ!!!」

「・・・・・・・・・・・・・」
(ken:取りあえず危なくなさそうだし、面白そうなのでちょっと見ている)

「お願い! 許して! 愛してるからーーー!!」
「まだ言うのか、この日本人の恥め!!!」



HYDEにしばらくいい気になって抱きついていた後、櫻澤はkenに頭を殴られ簡単に気絶した。

今度は客間になぞ入れなくもいいというHYDEの命令で、ファミリーの若者達は櫻澤を地下の湿った薄暗い一室に放り込んだ。

 それは、いわゆる拷問部屋と呼ばれるようなところであり、櫻澤はそこで、シチリアの「名誉ある男」に対して行った行為がどれほど蛮行であったかを、少々手荒な歓迎で身を以て思い知った。


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