Silent night & holly night 


「寝室で寝かしてあるからな」
 
帰り際、サクラおじちゃんはチビhydeパパにそれだけ言って帰ろうと思った。
思ったとおり、チビhydeパパの部屋は煙草の煙で霞んでいた。
珈琲を飲みきって空いたカップと、飲みかけの珈琲の入ったカップが
キッチンのシンクに運ばれないまま机の上に幾つも置かれていた。

曲線がグルグル描かれていたり、何かの絵が描かれた途中の紙切れがそこいら中に散乱していた。
簡単に言えば散らかり放題の部屋の中で、チビhydeパパはパソコンを睨み付けていた視線をサクラおじちゃんに移した。
眉間に皺が寄っている。
 
「息抜きだ。 顔、見てくる」
 
そのまま帰ろうとしたサクラおじちゃんは、「お前も来い」と言われて、もう一度チビhydeを運んだ寝室へ一緒に行った。
 
夕闇が濃くなって、チビhydeが眠る寝室の灯りは、部屋の中を橙色に映していた。
寝室のベッドはふたつ。
ドアから奥にあるベッドが可愛らしくふくらんでいる。
チビhydeパパはゆっくりベッドに近づいて、ふかふかの布団の中にいるチビhydeを覗き込もうとしている。
 
サクラおじちゃんにはチビhydeパパの背中しか見えないけれど、
彼の表情が手に取るように分かる。
 
 
 
 
今、ちょっと口が半開きのままベッド中のチビhydeを探している。
 
あぁ、見つけた。
 
寝顔を見て口が微笑んでる。
 
きっと目尻は下がってて、さっきまであった眉間の皺は、綺麗に消えている。
 
喉の奥で、「ぐふ・・・かぁわぁいいいぃぃぃ〜」とか呟いてる、きっと。
 
 
 
 
ベッド脇でチビhydeの寝顔に魅入っているチビhydeパパの背中が、
うんとかがんで小さくなったのを見て、
隣のベッドに腰掛けながらそれを見ていたサクラおじちゃんの口元も自然と微笑んだ。
安らかに眠っている子供の頬にゆっくりとキスできることは、
何が幸せかの随分と上位ランクに入るとサクラおじちゃんは思った。
 

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