ぐしょぐしょのパンダのぬいぐるみごとチビhydeを抱き上げると、
チビhydeはいつものように細い腕でサクラおじちゃんの頭にしがみついてきた。
しゃくり上げる度に小さく揺れるチビhydeの後頭部を撫でながら、
サクラおじちゃんはクリスマス仕様でもなんでもない、
いつもの真っ黒な部屋の固いソファにチビhydeを座らせた。
『どーしてパパが嫌いなの?』
『さ・・さしゃ・・ひっく・しゃくひっく・ら・・・お・・ぐずじ・じじ・ちゃ』
『・・・・さくらでいいよ、はいど』
『うわ〜〜ん、さくらぁ〜〜』
チビhydeの話を要約するとこうだ。
毎年、クリスマス近辺が仕事となるチビhydeパパ。
今までそのことについて、それほどチビhydeは何も思ってはいなかった。
だが、今年は違う。
だんだんクリスマスというものがどういうものだか分かってきたチビhydeは、
プレゼントよりもクリスマスにパパと一緒にいることを望んだのだ。
しかし、チビhydeパパの子供であるということは、
そもそもそんなに甘いものではない。
まぁ、こういう商売上クリスマスが忙しいというのは仕方のないことだし、
毎年それに関しては、多少自分も絡んではいるので何とも言えない。
結局、チビhydeが駄々を捏ねる結果となってしまった。
大人にはいろいろと事情というものがあるのだが、
そんなことは子供には全く関係のないことだ。
どんな子供にとってもパパはただのパパなのだから。
だが、こともあろうにチビhydeパパはそのチビhydeに対して、
『サンタさんは悪い子のところには来ないんだからねー』
と、子供にとっては世の中の電飾が一瞬にして消え去るような
デリカシーの欠片もないことを言ってしまったらしい。
クリスマスを一緒に過ごしてくれないどころか、そんな酷いことを言うパパなんて!
斯くしてチビhydeは意を決し、歩いて数歩のお隣のサクラおじちゃんのところに
家出をしてきたというわけである。
『クリスマスも大嫌い!』
ソファに丸まって再び泣き出したチビhydeに、
クリスマスなどどーでもいいと思っているサクラおじちゃんはどうしたものかと考えた。
しかし、クリスマスが嫌いとなれば、この先、年末のこの時期は、
チビhydeにとって苦痛なものとなるに違いない。
チビhydeに降りかかる苦難が少しでも少なくなるのなら
なんだってしようと思っているチビhyde溺愛のサクラおじちゃんは、
このままではいけないと、チビhydeのクリスマスに対する想いを軌道修正しよう
と考え始めた。
『はいど、おじちゃんとお出かけしないか?』
『どこに?』
『夜の街へのお出かけは嫌?』
『行きたいー』
『じゃ、大きくて綺麗なクリスマスツリーを見に行こう』
『わーい、さくら大好きー』