『俺の子供に一体何てことをしてんだよっ! おまえはっ!』
サクラおじちゃんは突然後頭部に鈍い痛みを感じた。
聞き覚えのある声に振り返ると、そこにはタレ目のチビhydeのパパが
つり上がった眉でサクラおじちゃんのことを睨んでいた。
『抱っこしていただけだけど?』
『嘘つけっ!』
正直に自分の思っていることを話しているだけなのに、
チビhydeパパはいつもサクラおじちゃんの言うことを信用しない。
それはそれは酷い形相でサクラおじちゃんを見ながら、
チビhydeのことをもぎ取るようにサクラおじちゃんから抱き取った。
『パパー、捜しに来てくれたの?』
『もう心配で心配であっちこっちすっごく捜しちゃったー』
サクラおじちゃんは出掛けるときに、チビhydeパパにちゃんと行き先と
帰宅予定時間をメールしておいたはずなのだけれども、
トロいチビhydeパパはそのメールに気がつかなかったのだろうか?
『早くお家に帰ろうね。 今年はパパはクリスマスのお仕事は
きっぱり断ったからね』
『えー、それほんとにほんと?』
『本当に本当』
『パパ、かっこいぃー』
いや、ただクリスマスにそこが空いてなかっただけで、
同じ仕事がクリスマスの翌日にズレ込んだだけなんだけど。
トロいチビhydeパパはそのことを覚えているんだろうか?
『かっけーパパのことが大好きないい子供のところには、
サンタさんがたっくさんプレゼントを持ってきてくれるんだからねー』
『わーい、パパかっこいぃー 大好きー』
おいおい、それは少し間違ったクリスマスの知識なんじゃないのか?
なんだかいろいろと言いたいことがあったのだけれど、
チビhydeとパパが嬉しそうに頬を寄せ合っている姿を見ているうちに、
サクラおじちゃんはあんなこともそんなことも、
もうどーでもよくなってしまった。
そうして、二人の身体の雪を軽く払いながら、
二人にこの雪のようにたくさんの楽しい想い出が降り積もるようにと。
そのひとつひとつが大切な記憶となって、この先、チビhydeの生きる支えと
なり、彼のことを強く守ってくれるようにと。
ガラにもなく願わずにはいられなかった。