服従するは我にあり


 
「ああ! もう、無理っ!」
 
もう我慢できない。 このまま吐いてしまってもいいのか?
見えない相手に一応聞いてみる。
アンタも男なら自分の状態がどこまでいっているのかくらい
分るだろう。
今は昼間で、レコーディング中だ。
被害は最小限度にとどめたいのはアンタも同じだろう。
とすれば、それなりの処置はせめて期待したいという意味
だろうか。
 
だけど、こうされるとどうする?
 
サクラは破裂寸前のhydeの根元を左手できつく握り込んだ。
hydeは低く唸ると暫く後にすすり泣きを始めた。
 
「もう、もうやめてよほんまに」
 
あ、泣いた。
 
どんな顔で泣くのか見てみたい衝動に駆られるが、そこを
越えればもう後戻りはできない。
そんなストレスを解消するかのようにサクラはhydeに添え
た手の激しさを増していく。
 
ビクつく太腿、反りかえる胸。
拒否を繰り返す舌。
ちょっと可愛そうだなと思いながらも、顔を知られない安心
からか悪戯心は増長していく。
 
いーや違うな。
ここまでいけばただの悪戯とは言い難いだろう。
サクラは気がついた。
hydeにはそういう気持ちを誘うところがあるんだ。
コマしてくれと言われているような錯覚を起こす何かがあ
るんだ。
 
そういう点では可哀そうだなぁ。
 
はっ・・・はっと息を吐くだけになったhydeを見下ろす。
精路を断たれているハズだが、彼のそこからは抑えきれ
ない露が溢れ、サクラの両手を濡らす。
 
アイマスクを濡らしながら一方的に与えられる刺激に耐え
ているいつもは見ることのできないhydeの姿で、サクラは
それ以上の行為を無理やり抑えようとし始めていた。
 
が、その時。
 
「あぁ」
hydeが一息吐いたその声はぞくりとするほど色っぽかった。
 
「怒らせたなら謝るから」
何のことだろう?
 
「もう許して、イカせてよ」
確かに、このままじゃ同じ男として酷なことは分かる。
 
「挿れてもいいから」
 
 
「・・・・teっちゃん」
 
 
挿れてもいい?
tetsu?
 
サクラは頭も回れば勘も良い方だ。
世間のなにがしかの不都合なことについて何も知らない
というほどおぼっちゃまでもない。
その彼が、こういう状況でhydeの口から出た台詞に、ある
仮説を導き出すのは容易いことだ。
 
 
tetsuとコイツはそういうことを、日常的にしているというこ
とか?
 
二人のそういう関係よりも、hydeから醸し出される雰囲気
の裏にはそういう事情があるのだということについて、「や
っぱり」と思ったことへのショックのほうがサクラには大き
かった。
次に感じたのは、認めたくもないがtetsuへのねっとりとし
た嫉妬だ。
自分が悪戯程度に弄んでいるhydeを、tetsuは抱いてい
るのだ。
抱いて、喘がせて、蹂躙してマスクの下で濡れている目
を独り占めしている。
 
歌っているときのhydeは誰のものにもならない、そして誰
にも届かない存在だ。
その彼を、己の下で組み敷いて、縫いつけて、彼が下で
欲しがるほど抱いているとでもいうのか。
 
男同士のSEXに、恋だ愛だが存在するわけがないだろう。
あるというならそんなもの、ただの粘膜の錯覚にすぎん。
お前らは単に肉の快楽に溺れて夢を見ているだけだ。
嘘だと思うなら俺が今からそれを証明してやるよ。

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