loveing peach


手首を押さえ込まれたhydeの指の先には
季節はずれな桃が転がっている。
芳香がくわんと鼻孔をつく。


「冬桃」


ひとつだけ桃を持ってふらりとhydeは現れた。
果モノだけでなく歴史モノなんかも好きな俺は、
「家康に冬桃を贈った信長の話」
なんてのを思い出したりした。
しかし、冬桃が本当にあるとは思わなかった。
 
仄暗い灯りの中、目の前に浮かび上がった桃と
白く浮き出た鎖骨。
疲れた身体に情欲は効かない。
 
痩せた身体を抱きしめる。
「折角持ってきてやったんだから桃を喰え」
そういうhydeの重たいコートを落として、
露わになった鎖骨を舌先でなぞる。
 

後は、なし崩しになる。
身体をどかせようともがく手には、
まだ桃が持たれている。
唇から洩れる吐息は甘いだろうか?
重ねた舌の上でその味を思い出した。
冬に熟した桃の香りはhydeからしてくるのか?
爪の食い込んだ桃が発するのだろうか?
 
甘く色づいた果肉に吸い付く。
ぴくんと腕が揺れて、桃はhydeの指から離れていった。
 
肉に分け入るとあふれ出す果汁。
すすれば呼吸は浅くなる。
目を覆ったその指には、薄桃色の皮が残っていた。
しゃぶると甘い味がする。
 
あぁ、さくら。
 
黒瞳を潤ませたhydeが甘い吐息とともに言う。
 

「俺の後でいいから、桃は絶対に喰え」
「俺、皮剥いてもらわないと喰えない」
「・・・・・・俺のことは剥いたくせに」
 

艶めく果肉に身体を擦りつけながら、
声を咽喉の奥で押し殺している
暖かで心地いいhydeの中はきっと、
あの桃のような色をしているんだろうなんて思う。