目が覚めた時に彼はいなかった。
部屋の真ん中に置いてある空っぽの鳥篭。
その先にある扉を見つめる。
ベッドから立ち上がり、真っ直ぐ扉に向かう。
自分の足で歩くのは、随分と久し振りのような変な感じだ。
この部屋は確かに白で統一されているが、
なぜ何もないなんて思っていたのか。
扉のノブを握りこみ、迷わず回す。
扉を開けると目の前には白い壁と木目の廊下があった。
部屋から一歩踏み出る。
自分のいたところが趣味のいい一軒家の二階だったことに気がつく。
此処を出て、何をするのだったか?
そうだ、彼だ。
僕は・・・いや、俺はアイツを探して、言わなきゃならない。
階段を上がって誰かが廊下を歩いてくる。
見覚えがある。向こうも俺に見覚えがあるらしい。
俺を見てかなり驚いている。
「お前!?」
あぁ、思い出した。相変わらずクマ作ってる。
「やぁ。 お久し振りリーダーさん」
「お前・・・だ・大丈夫なんか?えぇ?ホンマに?もう平気なんか?」
「ん、平気。 で、アイツは?」
「あぁっ! そ・そやった。 こっちや、来い」
俺は自分の居た部屋の隣の扉に案内された。
その扉を開けようとして、怖がっている自分に気がついた。
ここを開けたら、たぶん突きつけられる現実がある。
一度は逃げ出して、でももう二度目は救われない。
「何してんねや。 二度目は許さへんで。
みっともないことなりそうやったら俺がどついたるし安心せぇ」
そう言われて、ノブごと手を握りこまれて回された。
付き添いの看護師や医師の姿。
病状に対してある程度のことまでは充分にできるように整えられた設備。
小さな病院がそのままここに移設したとでも言えそうだった。
そしてベッドの中でチューブに繋がれ、点滴を受けている君。
俺に気がつくと、一瞬驚いた顔をしたが、
看護師の制止も聞かずに呼吸器を自分で取ると、言った
「目が覚めた?」
「hyde」
「今頃遅いわ、アホ」
しっかり歩けよ足。 震えるな声。
「おはようのチューがなかったからな」
「あー、忘れとった」
そこまで会話して、看護師に追い出された。
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